仕事はお笑いに通じる

慶応大4年 渡辺 さん 21

  • 「多くの人を笑顔にしたい」と話す渡辺さん。左は相方の石井優大さん(東京都港区の慶応大三田キャンパスで)=吉岡毅撮影
    「多くの人を笑顔にしたい」と話す渡辺さん。左は相方の石井優大さん(東京都港区の慶応大三田キャンパスで)=吉岡毅撮影

学生王者は目前

 〈私、入りたいグループがある〉

 〈何ですか〉〈EU(欧州連合)〉

 〈国として入るの?〉

 〈個人で。今日から加盟国はイタリア、フランス、ドイツ……とワタナベ(私)です〉〈露骨な異物混入だな〉

 慶応大のお笑いサークル「お笑い道場O―keis」のメンバー。商学部4年の石井優大まさひろさん(21)と漫才コンビ「キャラメルアンセム」を組み、自身はボケ役を担当。学園祭や、お笑いコンテストに出演している。

 昨年は、「大学生Mー1グランプリ」、約400組のお笑いコンビが参加した「大学芸会」でいずれも3位に入賞した。「優勝できるレベルには近づいている。最終学年の今年こそ1番を狙いたいと思います」と意気込む。

 東京都荒川区出身。子どものころから周囲に「変わった発言をする子」と面白がられた。中学高校は勉強漬けの毎日だったが、「目立つことが好きで高校はジャグリング部。勉強だけの真面目な人間ではなく、『変な人』になりたかった」という。

 お笑い番組も好きで、慶応大経済学部入学後、今のサークルに入部。同学年の女子部員が運営役など裏方にまわる中、唯一、お笑いを演じる役に名乗りを上げた。1年生の時から石井さんとコンビを組み、ライブや大会で100回以上舞台に立っている。

 ネタ作りを担う相方の石井さんは、「無邪気な明るさがあり、『おバカキャラ』でも毒気のあるセリフでも笑いにしてしまえる」と彼女を絶賛する。

アイデアで勝負

 現在は、コンサルタント業界を目指し就職活動中。「商品でなく自分自身のアイデアで勝負し、喜ばれる仕事はお笑いに通じます」と話す。

 選考で行われたグループディスカッションで、漫才をやっていると自己紹介すると一目置かれ、発言が通りやすくなることもあった。お笑いは大学でやり切るつもりだが、「仕事に慣れたら、アフターファイブでお笑いライブに出てもいいな。それって『変な人』ですかね?」と笑った。(恒川良輔)

近大と吉本興業 効用を研究

 「笑い」は人の健康にどんな影響を与えるのか。近畿大学は昨年、吉本興業などと共同で笑いの効用を探る研究を始めた。

 吉本新喜劇などを見ている人の顔の表情の変化を測定し、身体や心への影響を検証する。近大医学部の阪本亮助教によると、笑いは「ストレス解消、健康に良い」とされるが、定義が難しく、論文も少ないという。

 今回の研究で、阪本助教は、「うつ病などの精神疾患や、仕事で生じるストレスなどを、笑いの力で予防する方法を確立したい」と期待している。

大学のお笑いサークル
 かつては落語研究会などの団体が主流だったが、近年はお笑いライブを中心に活動するサークルが増えた。早稲田大の寄席演芸研究会、同志社大の喜劇研究会など50年以上の伝統を誇り、プロを輩出する団体もある。