フィンテック支える新卒を採用

 情報技術(IT)を活用した新たな金融サービス「フィンテック」に既存の金融機関も参入し、フィンテック専門の職種で新卒採用を行う動きが出ている。ITに関心があれば理系、文系を問わず採用するとして、学生へのPR活動に力を入れる企業もある。(金来ひろみ)

金融業界に「革新」期待

 明治安田生命保険は、将来、フィンテックを担える人材の採用枠「システムコース」を2019年春の新卒採用から設ける。その説明を兼ねたインターンシップ(就業体験)を3月、東京都内で開いた。

 参加した学生たちは、顧客に保険商品の説明などを行う人型ロボット「ペッパー」に、しゃべらせる内容を考えたり、動作や音声を入力したりする体験も行った。

 保険業界では、ビッグデータを活用した保険加入者の拡大や保険金支払い業務の自動化などが検討されており、参加した私立大女子学生(21)は、「システムエンジニア(SE)志望でIT企業を中心に見ていたが、生命保険会社の新たな一面を知り興味を持てた」と話していた。

 システムコースでは、学部や大学院の専攻を問わずITに関心があり論理的な思考を持つ人材を求める。同社の担当者は、「将来的には革新的なサービスを担当してもらう。まずは学生に新たな働き方があることを知ってほしい」と説明する。

求められる発想力と好奇心

 日本生命保険は今春の新卒採用から「IT戦略」コースを新設、東京海上日動火災保険も「データサイエンス」のコースを新設するなど、既存の金融業界でフィンテック人材の採用枠が増えている。三井住友銀行、三菱UFJ銀行なども業務のデジタル化に対応した専門職種を設けて採用を強化している。

 独立行政法人「情報処理推進機構」が16年度、983社に聞いた調査では、AIやビッグデータの活用などデジタル化の影響によるビジネスの変化を最も感じている業種は「金融」だった。金融系の会社は必要な人材確保の動きも活発で、情報工学を専攻する都内の女子学生(21)は、「銀行などから理系人材を求めるメールが一斉に届いている」と明かす。

 就職情報会社ディスコの武井房子上席研究員は、「フィンテックには豊かな発想力と好奇心が求められる。既存の企業だけでなく新興企業も人材を求めており、実際に働いている人に話を聞くなど、仕事の内容を確かめてほしい」と話している。

フィンテック
 人工知能(AI)、ビッグデータ、仮想通貨などを扱う金融サービス。インターネットを活用した決済や送金、資産運用などの事業があり、国は銀行法を改正し、銀行が出資しやすくした。メガバンクがITベンチャーと組む動きもある。