人材獲得へ 企業が学生訪問

 大学生の就職活動で、登録した学生に企業が接触する「逆求人型」「スカウト型」などと呼ばれる採用形態が増えている。学生優位の「売り手市場」で人材獲得に苦しむ中小企業や新興企業の利用が目立ち、就職先の視野を広げたい学生らの人気も集めている。(佐藤寛之)

「逆求人型」「スカウト型」活況

  • 企業が興味を持った学生を回る逆求人型のイベント。その場でパソコンを使って自己PRする学生もいた(4月21日、東京都内で)
    企業が興味を持った学生を回る逆求人型のイベント。その場でパソコンを使って自己PRする学生もいた(4月21日、東京都内で)

 就職支援会社ジースタイラスは4月、学生が企業のブースを回る合同企業説明会とは逆に、企業の担当者が学生を訪ねる「逆求人型」のイベントを東京都内で開いた。

 自己PRなどの情報を事前に登録した学生38人が席に座り、この情報を提供された24社の担当者が、関心のある学生の向かいに座って自社の事業内容などを説明。学生も「語学が堪能です」「体力には自信があります」などと自己紹介していた。

 システム開発会社の担当者は、「知名度がなく合同説明会では大企業に埋もれて学生は来てくれない。こちらから積極的に採りに行くことが必要」と語った。明治学院大4年の女子学生(21)は、「人事担当者と1対1で話ができ自分をアピールしやすい」と感想を話していた。

 ジースタイラスは2004年から逆求人型のイベントを開催。企業は30分ほど面談し、気に入った学生がいれば、選考に誘う。今春卒業した学生は約3500人が登録し1回のイベントで約3割が内定を得たという。

 一方、学生が自身のプロフィルを登録し、企業が情報を見て会いたい学生に連絡をとる「スカウト型」のサービスも人気だ。就職支援会社アイプラグが手がける「オファーボックス」には、来春卒業予定の約8万7000人が登録し14年卒の20倍近くに増えている。人材サービス会社ビズリーチの「ニクリーチ」にもこの3年で7倍増の3万人超が登録する。

就職先の視野広げる

 人事支援会社プロフューチャーが昨年12月、採用活動を終えた137社に聞いた調査では、採用予定者数に占める内定者の割合(内定充足率)は、大企業ほど高く、中小企業で低い傾向が見られた。同社の松岡仁・HR総研主席研究員は「苦戦している中小企業などにとって逆求人型やスカウト型は欲しい人材を効率よく確保できるのが魅力」と分析する。

 学生は大学で学んだ知識などを生かしたり、より合った仕事を探したりしたい人の利用が多い。「自己分析などで自分の強みを把握した上で視野を広げるために活用するといいだろう」と松岡さんは話している。

■利用する際の注意点

・自分の何が評価されたのかをきちんと確認する。過去の採用実績や離職率、研修制度なども尋ね、はっきりしない場合は大学のキャリアセンターに相談する。

・すぐに内定が出る場合もあるが、会社見学や社員との面談で、仕事内容や職場の雰囲気を確認してから入社を考える。

・個人情報は全ての登録会社に提供される。やりたい仕事の方向性が定まっていないと、多数の会社から連絡が来たときに、混乱する恐れがある。

(松岡さんの話から)