口説き文句に気をつけろ

  • イラスト・武居智子
    イラスト・武居智子

 「君と一緒に働けたらいいなって、思ったんだ」。私が企業の採用担当者だった頃、よく使っていた口説き文句です。もっとも、人事部に配属される新卒はせいぜい1人なので、同じ部署で働く可能性は極めて低かったのですが。

 すでに複数の内定先を得た学生も多いでしょう。この中から入社先に選んでもらえるよう、各社の担当者は口説き文句を工夫します。どんなふうに口説かれたか、学生たちに聞くと、「ウチの選考は難しいって評判なんだよ。よく通過することができたね」「(ベンチャー企業の)ウチから大手に転職した人はいても、大手からウチにきた人はいない。ウチみたいな企業を経験するなら今だよ」といった具合です。

 各社ともいじらしく、いや必死に努力しているわけですが、口説き文句を信じるのは危険です。担当者はその言葉を一人だけにかけているとは限りません。「絶対に○○部に配属させてあげる」という口約束も信用してはいけません。約束した人が異動する可能性があります。

 やはり就職先としてどうなのか、実態をみるべきです。自分に内定を出した理由も確認しておきたいところです。「納得してもらえるまで何でも質問に応じる」「疑問を解消するためにいくらでも社員を紹介する」と言ってくれる企業なら、歓迎ですね。

プロフィル
常見陽平  (つねみ・ようへい
 千葉商科大専任講師、人材コンサルタント、著述家。リクルートから玩具メーカーに転じ、新卒採用を担当。独立後はコンサルタント活動の一方、キャリア関連の著書を多数執筆。企業の本音などをまじえながら、就活生に総合的なアドバイスを送る。