クルマ「ゴルフ」は変わらず VW「e-GOLF」(Vol.538)

  • イー・ゴルフはワングレードで、車体色は白のみ
    イー・ゴルフはワングレードで、車体色は白のみ

 ゴルフの電気自動車(EV)である「e-GOLF(イー・ゴルフ)」が、ようやく発売に至った。約4年前に一度発売が予定されたが、国内の急速充電器への適合が不十分で見送られていた。でも、それによって、一充電走行距離がかつての215キロから、JC08モード値で301キロに伸びた。

 イー・ゴルフの特徴を一言でいえば、あくまでもゴルフの乗り味であったということだろう。すなわち、EVであることによる何か特別なことはあまり意識させないで運転できる。それは、プラグインハイブリッド車(PHV)のゴルフGTEでも同様である。

 このことは、ドイツのフォルクスワーゲン社(VW)が自ら述べていることでもあり、彼らは、ゴルフというクルマに、エンジン車もあれば電動車も選べるというクルマ創りをしていると語っている。

  • ドアを開けると、いつものゴルフの室内に迎えられる
    ドアを開けると、いつものゴルフの室内に迎えられる
  • 座席はやや大きめでしっかり体を支え、エンジン車と変わらぬ座り心地
    座席はやや大きめでしっかり体を支え、エンジン車と変わらぬ座り心地

  • 後席の広さもエンジン車と変わらない
    後席の広さもエンジン車と変わらない

 実際にドアを開けて乗り込むと、そこはエンジン車のゴルフと何ら変わらない室内デザインに迎えられる。異なるのは、メーター内の電力表示くらいであろう。ゴルフの所有者なら、そこはまさに見慣れた光景である。

 始動スイッチを押し、シフトレバーをDへ操作して、あとはアクセルペダルを踏み込むと、いつも通りに走り出す。電動車両だからといって、たとえばシフトレバーがバイワイヤー式の特別な格好をしているわけでもない。

 モーターで発進する様子は、PHVのゴルフGTEに似て、静かで力強く滑らかだ。まさにEVならではの加速感である。エンジン車の同等クラスと思われる車種と比較すると、車両重量がモーターやバッテリーの搭載により350キロほど重くなるのだが、ガソリンエンジンの出力に比べ、モーターの方が3割ほど大きい値であるため、加速に不満はない。

  • ボンネットフードを開けると、電気制御部品や高電圧の配線が目に飛び込んでくる
    ボンネットフードを開けると、電気制御部品や高電圧の配線が目に飛び込んでくる
  • メーター左側に、電力表示がある。メーター内にナビゲーション地図を表示することができる
    メーター左側に、電力表示がある。メーター内にナビゲーション地図を表示することができる

 運転を始めた際に、メーター内のオンボードコンピューターでは、一充電走行可能距離が300キロ以上を示しており、カタログ数値以上に走れることを知った。これは、エンジン車のゴルフでも体験したことで、イー・ゴルフの一充電走行距離はカタログ値で日産リーフに比べ劣るのだが、実走行距離はほぼ同等であると想像できる。

 シフトレバーを操作し、ドライブレンジをD1、D2、D3へ変えたり、シフトレバーをBレンジにしたりすることにより、回生の強さを調整することができる。またBレンジでは、日産のe-ペダルのように、右足のアクセル操作だけで加減速を調節することもできる。このあたりは、運転中にもっともEVらしさを体感するところだろう。

 一方で、エンジン音こそしないが、EVだからといって静粛性が特別高いわけでもない。タイヤ騒音など含め、思っている以上に騒音が室内に入ってくる。この点は、静かだと言われるEVらしさを実感しにくいところだ。

  • フロントグリルのVWマークの裏に、普通充電200Vの充電口が隠されている
    フロントグリルのVWマークの裏に、普通充電200Vの充電口が隠されている
  • 通常は給油口となるところに、急速充電用の口が設定されている
    通常は給油口となるところに、急速充電用の口が設定されている

  • 荷室の使い勝手も、エンジン車と変わらない
    荷室の使い勝手も、エンジン車と変わらない

 そのほか、エンジン車と変わらない点は、良い意味で室内の広さや荷室の使い勝手だろう。バッテリーをたくさん搭載していることにより荷室の容量が狭くなることもなく、着座した際に足元が窮屈になることもなく、いつものゴルフとして期待通りの使い勝手が守られている。ドアの開け閉めでの立て付けや、室内装飾の質感なども、まさにゴルフならではの仕上がりだ。充電口も、通常の給油口や、フロントグリルのVWマークなどを使って上手に装備している。外観からEVと気付かせるのは、イー・ゴルフ用のグリルの青い装飾と小さなバッジくらいしか一見したところ区別できるところがない。

 ゴルフを買ったら、たまたまEVだった。そんなブランドの強さを再認識させるイー・ゴルフである。