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健在「写ルンです」30歳…若者のおしゃれアイテム?

「使い捨て」でも「カメラ」でもない

  • 初代「写ルンです」。デザインはフィルムのパッケージを模した(富士フイルム提供)
    初代「写ルンです」。デザインはフィルムのパッケージを模した(富士フイルム提供)
  • 4月8日に発売される「写ルンです」の30周年記念モデル。初代とそっくりなデザインに(富士フイルム提供)
    4月8日に発売される「写ルンです」の30周年記念モデル。初代とそっくりなデザインに(富士フイルム提供)

 レンズ付きフィルムのさきがけ、富士フイルムの「写ルンです」が発売30周年を迎える。家族や友人との旅行に持って行った、という人も多いのではないだろうか。

 発売当初はともかく、今は身近にデジタルカメラやスマートフォンのカメラなどがいくらでもある時代。レンズ付きフィルムはもはや役割を終えたのではないかと思いきや、いまだ健在だ。若者の間で人気が高まっているという。いったいなぜなのか。富士フイルムで「写ルンです」のマーケティングを担当する築地紀和さんに話を聞いた。

 「写ルンです」が発売されたのは1986年7月1日。レンズ付きフィルムは「使い捨てカメラ」などと言われることもあるが、厳密に言うと「カメラ」ではない。あくまで「レンズとシャッターを付けて、写真を撮れるようにしたフィルム」という位置づけなのだ。ちなみに、「『使い捨て』の部分も、リサイクルしているので間違い」という。

大ヒットも、デジタルの波に押され…

 同社は創業50周年記念に安価なカメラを作ろうとしたが難航。カメラでなくても写真が撮れればよいという逆転の発想でできたのがレンズ付きフィルムだ。業界では、フィルムなので数えるときも「台」ではなく「本」だとか。

 当時、一般的なカメラは1台3万円以上。そこに1本1380円で発売した「写ルンです」は、発売開始から予想以上の売れ行きを見せた。翌年には海外にも展開。他社も次々にレンズ付きフィルムを発売し、97年のピーク時には出荷本数8960万本を記録した。

 しかし、デジタルカメラやスマートフォンの出現で、レンズ付きフィルムは大きく市場を縮小する。2012年には、ピーク時の5%以下となる430万本にまで落ち込んだ。

人気の秘密は懐かしい「風合い」

  • スマホの写真(左)とフィルムの写真(右)。質感や空の色がだいぶ違う(富士フイルム提供)
    スマホの写真(左)とフィルムの写真(右)。質感や空の色がだいぶ違う(富士フイルム提供)

 ここで消えゆくかと思われたレンズ付きフィルムだが、実は今、愛用する若者が増えている。活躍の場は、インスタグラムなどのSNSだ。若手写真家・奥山由之氏のように、「写ルンです」を愛用して作品を発表するアーティストもいる。

 フィルム特有の淡く、どこか懐かしい風合いを「おしゃれ」と感じるのだという。「現像するまでどんな写真かわからない」というのも新鮮なのだそうだ。しかも、「写ルンです」であれば27枚撮りと、何百枚も撮影可能なデジカメと比べて撮影できる枚数が非常に少ない。やり直しがきかない分、写真一枚一枚を大事に撮影することになる。

 もちろんピンボケしたり、指が写りこんでしまったりといった写真も撮れてしまうのだが、それも面白さ。現像と同時にデジタルデータ化してもらう手間もあるが、それも含めて楽しんでいるようだ。

 東京・原宿にある同社直営の「WONDER PHOTO SHOP」では、2年ほど前には月に20本程度だった販売本数が、昨年12月には100本を売り上げたという。

  • スマホの写真(左)とフィルムの写真(右)。スマホはくっきりと、フィルムは淡い表現になる(富士フイルム提供)
    スマホの写真(左)とフィルムの写真(右)。スマホはくっきりと、フィルムは淡い表現になる(富士フイルム提供)

過酷な環境でも使える

 意外な用途としては「過酷な環境で使う」というものだ。フィルム、レンズ、シャッターというシンプルな構成で壊れにくく、撮影に電池を使わないため、高山や寒冷地など、電池切れや故障を起こしやすい場所での撮影に持っていく人も多い。探検家で写真家の石川直樹氏はエベレストや南極に「写ルンです」を持っていったという。南極では、他に持っていったカメラ3台が故障したが、レンズ付きフィルムは無事に撮影できたのだそうだ。

 いわゆる「アナログ回帰」現象は、レコードやカセットテープなどでも話題になっている。レンズ付きフィルムも、デジカメにはない味わいをアピールすることで、新たな愛用者を取り込んでいるようだ。もしかしたら、レンズ付きフィルムを使っている人が「おしゃれ」と言われる日が近づいているのかもしれない。(メディア局編集部 小倉剛)

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