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毎年4万人定点観測で「働き方」の未来は変わるか

メディア局編集部 京極理恵
  • 今の働き方で先は見えてくるのだろうか…誰もが心に迷いを抱えている(写真はイメージです)
    今の働き方で先は見えてくるのだろうか…誰もが心に迷いを抱えている(写真はイメージです)

 会社に行けば、上司と部下の板挟みで胃が痛むAさん。育児休業中だが、仕事での遅れに焦るBさん。就職活動がうまくいかず、将来の不安がつきないCさん――。

 「自分はいったいどこに向かっているのか」、仕事と自分の関係を振り返り、そんなむなしさを胸に抱いたことのある人は少なくないだろう。

 リクルートワークス研究所(東京)が5月発表した「日本の働き方の定点観測」は、先行き不透明な我々サラリーマンに少しだけ未来を見せてくれるかもしれない。今年から毎年、全国の15歳以上の男女約4万人の働き方を定点観測し、属性グループごとに1年後の変化を示してくれるというのだ。これに合わせ、働き方分析の独自の指標も開発した。これで、たとえば、ニートの若者や非正規で働く女性、職場を仕切るミドル男性などが今後どう変わっていくか、などの実態を追えるらしい。

 4万人規模という大掛かりな定点観測調査は珍しいという。「労働・雇用」の実態を調査・分析してきた同研究所では、国による労働力調査、就業構造基本調査などを補完しつつもそれらとは一線を画し、「日本の働き方」を浮かび上がらせたいそうだ。

  • 日本全体の「ワークインデックス2015」の結果(リクルートワークス研究所の資料より)※インデックスは0~100で評価され、スコアが大きいほど望ましい状況
    日本全体の「ワークインデックス2015」の結果(リクルートワークス研究所の資料より)※インデックスは0~100で評価され、スコアが大きいほど望ましい状況

 調査開始の発端は、少子高齢化の進行で社会が求める「多様な働き方」なるものの実態が、そもそもきちんと把握されていないことだったという。実態がわからなければ、実現に向けた道筋も作れない。そこで、同研究所が考え出したのが、様々な属性の人の働き方やその変化を“見える化”する指標だ。この働き方分析の指標「ワークスインデックス」は、「安定して働いているか」「生計を自立させているか」「働き方を自由に選び、無理なく働けるか(ワークライフバランス)」「学ぶ機会・経験があり、成長しているか」「ハラスメントがないなど最低限保証されるべき就業条件が満たされているか(ディーセントワーク)」という5分野から構成される。

 手始めとして今年1月、インターネットを通じ全国約4万9000人を対象に「1週間の副業の労働時間」「パワハラ・セクハラ」「末子出産前後の退職理由」など90項目以上にわたる就業実態調査を実施し、上記の5指標で分析した(来年以降追跡できる対象が減ることを見込み、4万人規模での継続調査としている)。

  • リクルートワークス研究所の発表資料より
    リクルートワークス研究所の発表資料より

 たとえば自己啓発をしている人が23.2%に過ぎないなど学習・訓練のスコアが全体的に低く、近い将来の就業可能性を低下させる可能性があるなどの分析が出されている。また、個別のデータ分析でも「第一子妊娠出産による離職率」が2010~14年に産んだ女性の回答では46.2%と、2005~09年に産んだ女性の58.2%よりかなり割合が減ったことが明らかになっている。

 いずれにしても、この調査の真価が発揮されるのは来年。「前進しているかどうかを把握できないまま行動を続けることは誰にとってもつらい」と同研究所。

 しかし、後退しているかも……とも考えながら、どきどきして来年を待ってみようではないか。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」