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米大統領選を読む

米大統領戦2016
 米大統領選関連のニュースや豆知識、民主党候補ヒラリー・クリントン氏(69)、共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)の語録などをまとめました。

トランプ氏、米大統領への当選確実に

  • 9日、ニューヨークで、勝利宣言するトランプ氏(ロイター)
    9日、ニューヨークで、勝利宣言するトランプ氏(ロイター)

  【ワシントン=黒見周平】米大統領選は8日、全米各地で投開票が行われ、実業家で公職経験ゼロの異色の共和党候補ドナルド・トランプ氏(70)が、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(69)を破り、当選が確実になった。

 来年1月20日に第45代大統領に就任する。選挙で選ばれる公職か軍幹部のいずれの経験もない「アウトサイダー」が大統領選に勝利するのは米国史上初めて。トランプ氏は「米国第一」の立場から外交、内政を抜本的に見直すとしているが、公約には現実を度外視したものも多く、外交、経済が世界的に混乱しかねないとの懸念が広まっている。

トランプ氏の実像

 

・あまりに破天荒な言動録

 読売新聞の過去記事を検索・閲覧できるデータベース「ヨミダス歴史館」で、「トランプ」「ドナルド」のキーワードを入れて検索すると、一番古い記事として1987年(昭和62年)7月27日付朝刊に、「都市開発業者ドナルド・トランプ氏」として、その名前が見つかった。

 記事は、ニューヨーク・マンハッタンからオフィスビルが他地区に移転している事実を伝え、その中のエピソードとして、下記のように報じている。

“最近のマンハッタンのニュースで最もニューヨーク市民をおもしろがらせたのが、米三大テレビ・ネットワークの一つ、NBCの本社移転をめぐるコッチ市長と都市開発業者ドナルド・トランプ氏の大げんかだった。(→記事へ)

 

・トランプ劇場<上> 自己演出の「カリスマ」(7月16日朝刊掲載)

 ニューヨーク・マンハッタンの一等地にあるプラザホテルで1990年代、当時オーナーだったトランプ氏の下で働いた奥谷啓介さん(56)は、トランプ氏のことを「自らを演出する天才だった」と振り返る。(→記事へ)

 

・トランプ劇場<下> 攻撃的な言動 岐路(7月18日朝刊掲載

 小学2年生の時、「音楽を何も分かっていない」として、音楽の先生の顔面にパンチを食らわせた。自著「ジ・アート・オブ・ザ・ディール(The Art of the Deal、邦題『トランプ自伝』)」の中で、「何かに立ち向かい、自分の意見を非常に効果的なやり方で知らしめるという気概を既に持っていた」と述懐している。(→記事へ)

 

・昔から有名…30年前は「ヤッピーの旗頭」

 次期米大統領に決まったドナルド・トランプ氏。政治の世界では新顔だが、経済人としては実は古くから知られた存在だ。

 読売新聞の記事では、早くも1987年10月14日の朝刊解説面に「ヤッピーに見る不吉な影」との見出しの記事で紹介されている。記事は、「ドナルド・トランプの名が米国や欧州のマスコミに登場するようになった」とし、次々にビルを買収、多額の資産を築き、頭の中を金もうけと名誉だけが占める「ヤッピーの旗頭的存在」と指摘している。

 87年といえば、日本では、バブル経済のもとで、土地価格が高騰した時代。日米とも、成功者の多くが不動産業で、形あるものをつくる製造業が不調な反面、実体のない財テクが主要な収入である傾向に、「一つの文明の終えんを予感する」とした。

 また、「友だちに頼るのは嫌いだし、私自身、頼りがいのある男ではない。頼りにするのは自分だけにしたい」というトランプ氏の発言にあるような「ミーイズム(私主義)」がアメリカ社会を蔓延していると指摘。「退廃の中にごう慢さがひそむこの時代の精神には、どこか不吉な影がある」と締めくくっている。

トランプ氏語録
201610
「発言は男子更衣室で交わすような私的なものだ」
民主党候補・クリントン氏との第2回テレビ討論会にて。女性についてわいせつな言葉で語る動画が公開された問題について、「家族と米国民に謝罪」したうえで、こう釈明した。(2016年10月11日付夕刊)
「投票日に向け、大規模な不正行為が行われている」
最後となる第3回テレビ討論会を前に、ツイッターで。(2016年10月19日付朝刊)
20169
「入院したのは11歳の時に盲腸の手術を受けたのが最後」
健康問題が浮上した対立候補・クリントン氏へ対抗する狙いで、健康状態が「極めて良好」とする主治医の診断結果を公表。身長1メートル90、体重107キロと肥満気味のトランプ氏だが、最近行った血液検査や大腸内視鏡検査、胸部エックス線検査などで異常は一切見つからなかったという。(2016年9月16日付夕刊)
20167
「不法移民の流入を止めるため、巨大な壁を作る」
党大会で行った指名受諾演説で。治安確保の具体策として、メキシコ国境の「壁」建設を明言。(2016年7月23日付朝刊)
20166
「公式の夕食会はやらない。会議用のテーブルでハンバーガーを食べればいい」
ジョージア州での演説で、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長との会談について、「彼が米国に来るなら受け入れる」と述べ、訪米を歓迎する意向を示した。(2016年6月17日付朝刊)
20163
「あえてはっきり言えば、核兵器が最後の手段だ。私はどんな可能性も除外しない」
米通信社ブルームバーグのインタビューで、イスラム過激派組織「イスラム国」への対応について聞かれて。(2016年3月25日付朝刊)
201512
「国の代表者たちが、何が起きているのか把握するまで(の間、イスラム教徒の入国を)全面的かつ完全に禁止する」
カリフォルニア州で起きた銃乱射テロを受けての声明で。(2015年12月8日付夕刊)
「私が大統領選に勝てば、警察官を殺害した者は誰でも死刑にする強い強い大統領令に署名をする」
ニューハンプシャー州で開かれた警察官による団体が主催する会合で。(2015.年12月12日付朝刊)
20157
「(メキシコは米国に)問題の多い人を送り込んでいる。麻薬や犯罪(に関わる人)であり、婦女暴行犯だ」
先の出馬表明演説で。これに対して、大手メディアや百貨店が、移民を中傷する発言として、トランプ氏との関係を打ち切ると発表した。(2015年7月1日付朝刊)
20156
「(選挙戦で)他人の金は必要ない。私は非常に金持ちだ。私は、神が創造した中で最も雇用を生み出す大統領になる。中国、日本、メキシコなど多くの国から雇用を取り戻す」
ニューヨークでの集会で、2016年大統領選の共和党指名候補争いへの出馬を表明。(2015年6月17日付夕刊)

米大統領選豆知識

ファースト・ジェントルマン誕生?

 ヒラリー・クリントン氏が当選すれば、米国史上初の女性大統領となることは、皆さん先刻ご承知だろう。しかし、今回の選挙ではどちらが当選した場合も「異例の大統領」の出現となる。
 初の女性大統領が誕生すれば、夫婦で大統領を経験する初のケースとなる。夫のビル・クリントン元大統領自身は米国史上初の「ファースト・ジェントルマン」にもなる。元大統領がホワイトハウスに復帰するのも異例。ヒラリー氏は、夫には「特別な任務、アドバイスをお願いしている」とし、分野では「特に経済」だという。
 では、トランプ氏が当選するとどんな「史上初」は何か。「公職経験ゼロ」の大統領の登場という点だ。米紙ワシントンポスト(電子版)の記事によると、これまでの大統領は選挙の経験がなくても、アイゼンハワー大統領のように軍高官か、商務長官などの政治任用される主要ポストの経歴の持ち主ばかり。軍歴も政治経験もないトランプ氏は異例の存在だそうだ。

投票日が火曜日な訳

 アメリカ大統領を決める本選の投票日は「11月第1月曜日の次の火曜日」。予備選挙が集中する「スーパーチューズデー」も有名だ。
 日曜日はキリスト教の安息日にあたるため、週末は「プライベートな時間」という考え方が根強い。かつては、月曜日に遠く離れた投票所に向けて出発しても、到着が火曜日になることもあったため、「火曜投票」が通例になったらしい。
 しかし、西部劇の時代ならともかく、現代では火曜日に投票に行けない労働者も多いため、期日前投票も可能になっている。
期日前投票を訴えるオバマ大統領(2012年10月23日撮影、オハイオ州デイトンで)
期日前投票を訴えるオバマ大統領(2012年10月23日撮影、オハイオ州デイトンで)

投票で選ぶのはだれ?

2012年のマークシート形式の投票用紙
 11月8日の一般有権者による投票は、形式的には特定の大統領候補を支持する選挙人の集まりである「選挙人団」に票を投じる間接選挙。投票用紙は、州によって様式がさまざまだが、各党の大統領候補、副大統領候補の名前をワンセットにして書いてあったりする(=写真は2012年のマークシート形式の投票用紙=)。それも、民主、共和両党以外の候補もずらりと出ている。
 「投票用紙に選挙人の名前を記入して投票箱に?」と想像する人もいるかもしれないが、有権者は通常、だれが選挙人かを意識することはない。選挙人を選ぶ方法は各州に任されているが、ほとんどの州では一票でも多く取った候補が全選挙人を獲得する「勝者総取り」方式で、選挙人(全米で538人)の過半数(270人)を取れば候補の当選が確定する。
 これでおしまいではない。12月19日に選挙人538人による投票が行われ、新大統領が正式に決まり、来年1月20日の大統領就任式に臨むのである。

得票の多い方が勝つとは限らない

得票が再集計となったことを巡り、ブッシュ、ゴア両候補の弁護人による口頭弁論が行われた連邦最高裁前は厳戒態勢に(2000年12月11日撮影)
得票が再集計となったことを巡り、ブッシュ、ゴア両候補の弁護人による口頭弁論が行われた連邦最高裁前は厳戒態勢に(2000年12月11日撮影)
 各州で選挙人を選ぶという間接選挙のため、投票段階で最も多い票を得た候補が獲得選挙人の数で他候補を下回ることがある。
 実際に最多得票を得た候補が敗れたケースは過去に4回。2000年の大統領選では、民主党のアル・ゴア元副大統領が、ジョージ・W・ブッシュ前大統領に約50万票差をつけていたにもかかわらず、獲得選挙人の数で敗れた。

選挙にはいくらかかるの?

 広大なアメリカで長い期間にわたって選挙活動を続けるためには数百億円相当の資金が必要だといわれる。飛行機をチャーターして遊説したり、選挙事務所を各地にもうけたり、テレビCMを大量に流したり……。
 政治資金を監視する非営利団体「責任ある政治センター」(本部・ワシントン)によると、9月21日までにクリントン陣営が資金管理団体と個人献金を通じて集めた総額は3億7300万ドル、トランプ陣営の1億6600万ドルの約2倍となる。

Twitter

クリントン氏のツイート

Wife, mom, grandma, women+kids advocate, FLOTUS, Senator, SecState, hair icon, pantsuit aficionado, 2016 presidential candidate. Tweets from Hillary signed ―H
New York, NY
2013年4月に登録
誕生日 1947年10月26日

トランプ氏のツイート

New York, NY
2009年3月に登録

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