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緊迫・北朝鮮~北がグアムへミサイル発射を検討

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10日、金絡謙(キムラクキョム)朝鮮人民軍戦略軍司令官が「米国に厳重な警告を送るため」として、中長距離弾道ミサイル「火星12」4発を米グアム島周辺に同時発射することを慎重に検討していると発表したと報じました。北朝鮮は今年に入って12回ミサイルを発射しており、情勢は緊迫化しています。最新のニュースや、ミサイル発射の際の避難方法などをまとめました。

【最新ニュース】

北朝鮮がグアムにミサイル発射検討(8月10日)

  • 7月4日、朝鮮中央通信が報じた大陸間弾道ミサイル「火星14」とされる画像(ロイター)。ミサイルは移動式発射台に載せられている
    7月4日、朝鮮中央通信が報じた大陸間弾道ミサイル「火星14」とされる画像(ロイター)。ミサイルは移動式発射台に載せられている

 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10日、金絡謙(キムラクキョム)朝鮮人民軍戦略軍司令官が「米国に厳重な警告を送るため」として、中長距離弾道ミサイル「火星12」4発を米グアム島周辺に同時発射することを慎重に検討していると発表したと報じた。

 小野寺防衛相は、北朝鮮が米軍基地のあるグアムに向けてミサイルを発射した場合、集団的自衛権行使が可能となる「存立危機事態」に当たりうるとの見方を示した。10日午前の衆院安全保障委員会の閉会中審査で答弁した。

 小野寺氏は「(日本の防衛力と米国の打撃力の)両方があって日本の抑止力が高まることを考えると、米側の打撃力が欠如することは日本の存立の危機にあたる可能性がないとも言えない」と述べた。さらに、「具体的な想定での話をする状況ではない。総合的な事態を勘案する中で、どの事態と判断するかは政府全体で共有していきたい」とも指摘した。

グアムに北ミサイルなら広島・高知など上空通過(8月10日)

  • 金正恩氏(ロイター)
    金正恩氏(ロイター)

 10日の朝鮮中央通信によると、朝鮮人民軍が検討中の中長距離弾道ミサイル「火星12」が発射されると、日本の島根、広島、高知県上空を通過し、3356・7キロ・メートルを17分45秒間飛行後、グアム島周辺30~40キロ・メートルの海上に着弾することになるという。

 作戦案を8月中旬までに完成させ、金正恩朝鮮労働党委員長に報告後、「発射待機態勢で命令を待つ」とした。21日から韓国で予定されている定例の米韓合同軍事演習をけん制する狙いがあるとみられる。

 金絡謙朝鮮人民軍戦略軍司令官は、トランプ米大統領が8日(米東部時間)、北朝鮮に「世界が見たことがないような炎と怒りに直面することになる」とした警告に対しても、「理性的な思考ができない者とは正常な対話は通じず、絶対的な力で抑えなければならない」と強調した。

「炎と怒りに直面」トランプ大統領が北朝鮮に警告(8月9日)

  • 北朝鮮ミサイル発射で号外(7月4日、名古屋市内で)
    北朝鮮ミサイル発射で号外(7月4日、名古屋市内で)

 トランプ米大統領は8日(米東部時間)、北朝鮮に対し「これ以上、米国を脅さない方がいい。世界が見たこともないような炎と怒りに直面することになる」と異例の強い表現で警告した。滞在先の東部ニュージャージー州で記者団の問いかけに答えた。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)が8日(同)、北朝鮮が核弾頭を小型化し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)への搭載が可能になったとする米国防情報局(DIA)の分析を伝えており、脅威認識の高まりを反映して軍事行動も辞さない構えを示したものだ。

 米空軍が8日、九州周辺空域で航空自衛隊と共同訓練を実施したのに対し、北朝鮮軍は8日、中距離弾道ミサイル「火星12」で米軍基地のあるグアム島周辺への包囲射撃作戦を検討中と発表するなど、米朝間の軍事的緊張が高まっている。

北朝鮮が発射したミサイル

2017年
7/28 深夜に弾道ミサイル発射
7/4 弾道ミサイル発射
6/8 日本海に向け、地対艦ミサイル数発を発射
5/29 弾道ミサイル発射。日本のEEZ内に落下
5/21 弾道ミサイル発射。日本のEEZ外に落下。北極星2型か →成功。実戦配備を指示
5/14 弾道ミサイル「火星12」を発射。日本のEEZ外に落下。防衛省は高度2000キロを超えたと推定→通常角度で発射した場合、射程は約4500~5000kmに →射程伸ばす。弾頭の大気圏再突入に成功したとの報道も
4/29 弾道ミサイル発射。失敗。北極星2型か
4/16 弾道ミサイル発射。失敗
4/5 弾道ミサイル発射。失敗
3/22 弾道ミサイル発射。失敗
3/6 中距離弾道ミサイル「スカッドER」(射程約1000km)と推定される4発を発射。うち3発が日本のEEZ内に落下 →命中精度向上
2/12 新型弾道ミサイル「北極星2型」を日本海に発射 →固体燃料を使用し移動式発射台からの発射に成功。即応力、奇襲力高める
2016年
9/5 中距離弾道ミサイル「ノドン」(射程約1300km)3発発射。約1000km飛行し、日本のEEZ内に落下 →移動式発射台から連続発射し、ほぼ同地点に落下。奇襲能力、命中精度向上
8/24 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射。約500km飛行 →SLBM最低射程の300kmを初めて超える
6/22 中距離弾道ミサイル「ムスダン」(射程2500~4000km)と推定される2発を発射。1発は150km飛行し空中爆発。もう1発は400km飛行 →初成功
4/23 SLBMを発射
2/7 長距離弾道ミサイル「テポドン2改良型」発射

弾道ミサイル発射時の避難方法は?

 政府は北朝鮮情勢の緊迫化を踏まえ、弾道ミサイル発射時の避難方法に力を入れている。緊急時の具体的な対応策を幅広く周知することで、国民が迅速に対応できるようにするとともに、正確な情報を提供することで、過剰な反応による混乱を抑制する狙いがある。6、7月には新聞広告やテレビCMなどで、避難方法を紹介する広告を掲載した。

 広告では、ミサイルが日本に落下する恐れがある場合、全国瞬時警報システム「Jアラート」で緊急情報が流れることを説明。その上で、〈1〉頑丈な建物や地下に避難する〈2〉建物がない場合は物陰に身を隠すか地面に伏せて頭を守る〈3〉屋内の場合は窓から離れるか窓のない部屋に移動する――などの避難行動を呼びかけている。

用語解説

◆大陸間弾道ミサイル(ICBM)
 Intercontinental Ballistic Missileの略で、大陸間を飛行するミサイルの総称。冷戦時代に米国とソ連(当時)が調印した第2次戦略兵器制限条約(SALT2)では、射程が5500キロ・メートル以上と定義された。米国、ロシア、中国が保有し、インドも発射実験の成功を発表している。北朝鮮は、米首都ワシントンに到達する1万800キロ・メートル以上の射程を持つICBMの開発を目指しているとされる。
◆Jアラート
 弾道ミサイル発射や地震、津波などの情報を、総務省消防庁から人工衛星を介して該当地域の自治体に発信するシステム。自治体は、防災行政無線などで、住民に周知する。2007年2月に運用を開始した。

◆ロフテッド軌道

 通常より高い軌道に打ち上げるミサイルの発射方法。飛距離は通常軌道で撃つよりも短くなる。落下速度が速くなることなどから、迎撃が通常軌道と比べて難しくなる。北朝鮮が7月4日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)は高度2500キロ・メートル超とされ、日本政府などはロフテッド軌道による発射と分析している。
◆排他的経済水域(EEZ)
 Exclusive Economic Zoneの略。沿岸12カイリ(約22キロ・メートル)以内に設けられた「領海」の外側で、かつ沿岸から200カイリ(約370キロ・メートル)以内の範囲にある海域。国連海洋法条約では、漁業や天然資源の掘削、科学的調査などの活動について、沿岸国が優先的に行えるとしている。外国船は自由に航行できる。EEZの外側は公海で、全ての国に開放されている。

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