まとめ読み「NEWS通」

フランス大統領選~マクロン氏がルペン氏破る

  • 勝利宣言し、妻のブリジットさん(右)と支持者の祝福に応えるマクロン氏(7日午後、パリで)=鈴木竜三撮影
    勝利宣言し、妻のブリジットさん(右)と支持者の祝福に応えるマクロン氏(7日午後、パリで)=鈴木竜三撮影

 フランス大統領選の第2回投票が7日行われ、中道で無所属のエマニュエル・マクロン前経済相が、次期大統領に決まりました。選挙は4月に行われた第1回投票を受けて、極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏と、マクロン氏の一騎打ちとなり、マクロン氏が大差をつけて当選を確実にしました。相次ぐテロや移民問題に揺れるフランスを占う選挙戦をまとめました。(日付は現地時間)

史上最年少の仏大統領誕生

 フランス大統領選の決選投票は7日午後8時(日本時間8日午前3時)に投票が締め切られ、即日開票の結果、欧州連合(EU)の統合推進を訴えた中道で無所属のエマニュエル・マクロン前経済相(39)が6割以上の票を集め、EU離脱を主張した極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏(48)を破り、当選することが確実になった。

 仏メディアが出口調査の結果などから一斉に伝えた。マクロン氏は史上最年少の仏大統領となる。仏公共放送はマクロン氏が65・1%、ルペン氏が34・9%との得票率の見通しを伝えた。

端正な顔、25歳年上の妻と「純愛」…話題

 マクロン氏は、北部アミアンで生まれ、エリート官僚養成校の国立行政学院(ENA)を卒業した。外資系の投資銀行で勤務し、32歳で共同経営者に昇格。オランド大統領に大統領府の幹部スタッフとして招かれ、2014年には36歳で経済相に抜てきされた。

 マクロン氏は経済相として、百貨店などの日曜営業に道を開く規制緩和を進めた。しかし労組の支持を受ける社会党内での反発が強く、改革を進めるのは難しいと判断。昨年4月に大統領選を目指して政治活動の基盤となる組織「進め」を旗揚げし、その後、経済相を辞任した。

 若くてハンサムな外見に加え、高校時代の教師だった妻ブリジットさん(64)とのなれそめなど話題性に事欠かない。週刊誌がこぞって特集を組むこともあり高い支持につながっているが、政治経験が乏しく浮動票頼みという点が不安要素だ。

フランス大統領選2017~ダイジェスト

TV討論、マクロン氏優勢…ルペン氏より「説得力」(5月3日)

 フランス大統領選の決選投票(7日)に向けて3日、中道で無所属のエマニュエル・マクロン前経済相と極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏がテレビ討論を行った。両氏はテロ対策や欧州連合(EU)との関係などのテーマで主張をぶつけ合い、討論終了後の世論調査では、63%が「マクロン氏に説得力があった」と回答し、ルペン氏の34%を上回った。

 公共テレビと民放テレビが共催した討論は2時間半にわたり、ルペン氏はテロ対策を巡りマクロン氏を「イスラム過激派に甘い」と攻撃した。マクロン氏は「ルペン氏の過激な政策は国民の分断を招くだけで、テロリストの思うつぼだ」と反論した。

 EUとの関係では、マクロン氏が「強いEUを作りフランスの利益を守る」と述べ、EUとの統合を推進すると強調した。ルペン氏は「マクロン氏は(ドイツの)メルケル首相に従順だ」と述べ、マクロン氏が当選すればフランスはメルケル氏の影響を強く受けると指摘。「どちらが当選してもフランスを支配するのは女性になる」と皮肉った。

 ルペン氏は投資銀行の幹部やオランド政権の経済相を務めたマクロン氏の経歴に触れ、「野蛮なグローバル化を推進する候補」「オランド大統領の後継者」などと批判した。マクロン氏は「あなたの主張はウソばかり」と言い返し、非難の応酬となった。

パリでメーデーのデモが暴徒化、警察官6人負傷(5月1日)

  • メーデーの1日、パリでデモ隊が暴徒化し、炎に行く手を阻まれる機動隊員(ロイター)
    メーデーの1日、パリでデモ隊が暴徒化し、炎に行く手を阻まれる機動隊員(ロイター)

 フランス大統領選の決選投票(7日)を前に、パリで1日、メーデーの大規模デモが行われ一部が暴徒化した。約3万人の参加者の一部が火炎瓶を投げたり、警官隊ともみ合いになったりして、警察官6人が負傷したという。

 デモには、決選投票に進んだ極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏と、中道の無所属エマニュエル・マクロン前経済相のいずれにも投票したくないという有権者も参加し、「どちらにも反対」などと書かれたプラカードを掲げた。

マクロン氏優勢~ルペン氏は急進左派票狙う(4月29日)

 第1回投票で首位に立った中道で無所属のマクロン氏が優勢で、極右・国民戦線のルペン氏が追う。ルペン氏が「反グローバル化」などを旗印に急進左派も取り込んで巻き返しを狙う一方、マクロン氏は党派を超えた「反ルペン」の結集を図る。

 ルペン氏は4月29日、大統領に当選すれば、右派「立ち上がれフランス」のニコラ・デュポンエニャン党首を首相候補に指名すると発表した。同氏は欧州連合(EU)に批判的で、大統領選では第1回投票で4・7%の票を得て6位。28日に決選投票でのルペン氏支持を表明していた。ルペン氏は記者会見で「我々は挙国一致政府を作る」と述べ、包囲網の切り崩しに自信ありげな表情を浮かべた。

 ルペン氏が狙うのは、第1回投票で4位と善戦した急進左派で左翼党のメランション氏の票だ。極右と急進左派で移民政策では対立するが、反グローバル化を訴え、EUや北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的な点で共通する。ルペン氏は28日、ツイッターに投稿した動画でメランション氏の支持者に「マクロン氏を阻止しよう」と呼びかけた。

 マクロン氏が約6割の票を集めて勝利するとの世論調査結果もある。マクロン氏を「企業寄り」と見て賛同しない有権者も多く、決選投票では棄権に回り、固定票が多いルペン氏に有利になるとの見方もあり、投票率が一つのカギになる。

惜敗2氏の票の行方に注目(4月27日)

 フランス大統領選の決選投票に向け、第1回投票で惜敗した急進左派のメランション氏と中道右派・共和党のフィヨン元首相が獲得した票の行方に注目が集まっている。中道で無所属のマクロン前経済相と極右・国民戦線のルペン氏の争いとなった決選投票はマクロン氏有利とみられているが、ルペン氏にも他候補の票を取り込む余地があり、予断を許さない状況だ。各種世論調査では、マクロン氏が決選投票で6割以上の票を得るとされ、ルペン氏は劣勢に立たされている。

 「選挙の大きな争点は野蛮なグローバル化だ」。ルペン氏は決選投票への進出を決めた23日以降、「反グローバル化」や「反欧州連合(EU)」の訴えに特に力を込めている。EU推進派のマクロン氏との違いを際立たせるためだ。EUに懐疑的なメランション氏の支持層を取り込む狙いもあるとみられる。

ルペン氏「党首辞任」で支持拡大狙う(4月26日)

 フランス大統領選で決選投票に進んだ極右・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏は24日、一時的に党首の座から離れると表明した。中道で無所属のエマニュエル・マクロン前経済相との決選投票(5月7日)を前に、党派色を薄めて支持拡大を図る狙いとみられる。ルペン氏は「庶民の代表」もアピールしているが、戦略が功を奏するかどうかは不透明だ。

 「党首を辞任する」。ルペン氏は24日夜に出演したテレビ番組で突然、こう切り出し、「私はもう党首ではない。フランス人を結束させたいと願う大統領候補だ」と続けた。

 ルペン氏の「辞任表明」は、危機感の表れとも言えそうだ。オランド仏大統領は24日、極右勢力の台頭を阻止するとして、マクロン氏に投票する考えを表明した。最大野党の共和党も同日、党員にマクロン氏への投票を呼びかける方針を決めるなど、「ルペン包囲網」が出来上がりつつある。

第1回投票の結果~「反ルペン」包囲網が続々(4月23日)

 「極右に対抗して投票するしか選択肢はない。私はマクロン氏に投票する」。中道右派で最大野党・共和党のフランソワ・フィヨン元首相は23日夜、パリで支持者を前に敗北宣言し、悔しさをにじませながらも決選投票でマクロン氏を支持すると表明した。中道左派の与党・社会党のブノワ・アモン前教育相も決選投票でマクロン氏に投票するよう支持者に呼びかけた。

シャンゼリゼ通りで銃撃テロ~警官3人死傷、選挙戦へ影響(4月20日)

  • 仏南部ニースの「プロムナード・デ・ザングレ」付近で犠牲者の冥福を祈る市民ら。フランスではイスラム過激派によるテロが相次ぐ(16年7月=井口馨撮影)
    仏南部ニースの「プロムナード・デ・ザングレ」付近で犠牲者の冥福を祈る市民ら。フランスではイスラム過激派によるテロが相次ぐ(16年7月=井口馨撮影)

 パリ中心部にあるシャンゼリゼ通りで20日午後9時(日本時間21日午前4時)頃、男が警察官に向けて自動小銃を発射し、警察官1人を殺害し2人にけがを負わせた。男は現場近くで警察官に射殺された。イスラム過激派組織「イスラム国」系の「アマク通信」は同日夜、「イスラム国」の犯行声明を伝えた。

 銃撃テロの発生を受け、極右政党・国民戦線のルペン党首ら大統領選の主要候補は相次いで、21日の選挙運動を自粛する方針を表明した。

 フランスでは15年1月にパリの政治週刊紙シャルリー・エブドなどの銃撃、パリの同時テロ、南部ニースでのトラック突撃(16年7月)などイスラム過激派によるテロが相次いでいる。ロイター通信によると15年以降、フランスでは230人以上がテロの犠牲になっている。このため今回の大統領選でテロやイスラム過激派への対策が大きな争点となっている。

初のテレビ討論会~移民問題、EUとの関係議論(3月20日)

 自国優先主義を掲げる国民戦線のマリーヌ・ルペン党首(48)や無所属のエマニュエル・マクロン前経済相(39)ら主要5候補が20日夜、初めてのテレビ討論会に臨み、移民問題や欧州連合(EU)との関係性などについて、意見を戦わせた。

 ルペン氏は「合法、非合法を問わず、移民の流入を止めたい」と述べ、「反移民」の姿勢を強く打ち出した。これに対し、マクロン氏は人道上の理由から難民を受け入れるべきだとの考えを示した。また、ルペン氏が唱えるEU離脱について、中道右派・共和党のフランソワ・フィヨン元首相(63)が「経済や社会の混乱を招く」と批判した。マクロン氏も「EUにとどまるべきだ」と語り、ルペン氏との立場の違いを鮮明にした。

第1回投票~ルペンVS「反ルペン連合」の決選投票へ

 大統領選には11人が立候補し、EUとの関係や経済政策、テロ対策などが争点となった。4月23日の第1回投票では、得票率でマクロン氏が首位に立ったが、当選に必要な過半数に届かず、2位のルペン氏との決選投票に進むこととなった。

 投票率は約78%で前回2012年より約1ポイント低かった。伝統的に政権を担ってきた中道左派と中道右派の2大政党のいずれの候補も決選投票に進めないのは、現在の選挙制度が始まった1965年以来初めてとなった。