気象・災害まとめ読み

九州北部で記録的大雨~多くの死者や行方不明者

 記録的な豪雨となった九州北部で、多くの死者や行方不明者が出ています。土砂災害や道路損壊も相次ぎました。各地で行方不明者の捜索、救助が続けられています。

(現地の状況)(用語解説)(豪雨で気をつけること)(最新ニュース)

九州防災ポータルサイト(国土交通省九州地方整備局HP)

現地の状況

豪雨災害の死者は34人に(7月17日)

 九州北部を襲った豪雨災害で、有明海で見つかった2人の遺体は、いずれも福岡県朝倉市の女性と判明した。

 豪雨による死者は34人。朝倉市と同県東峰村で17日午後に発令された避難指示はいずれも解除された。

引き続き警戒が必要(7月11日)

 気象庁によると、九州北部は12日朝にかけ、梅雨前線が南下する影響で、局地的に雷を伴った強い雨の降る恐れがある。同日朝までの24時間雨量は、九州北部の多い所で50ミリと予想されている。

大分県日田市で孤立状態がほぼ解消の見通し(7月11日)

 九州北部の豪雨災害は10日、新たに男女4人の死亡が確認された。

 このうち男性1人は有明海で遺体で見つかっていた。福岡、大分両県の死者は25人になった。120人が孤立している大分県日田市では道路を覆う土砂の撤去が進み、12日にも孤立状態がほぼ解消される見通しだ。

 福岡県などによると、朝倉市とうきは市の計24人と連絡が取れていない。

死者は20人を超える(7月10日)

 記録的な豪雨となった九州北部では9日、福岡県朝倉市で女性2人、東峰村で女性1人の計3人の死亡が確認され、死者は朝倉市、東峰村、大分県日田市で計21人となった。

 朝倉市は山崩れの恐れがあるとして、一部地域に避難指示を出した。一方、集落の孤立状態は解消に向かっている。

 気象庁によると、九州北部は10日も昼前にかけて激しい雨に見舞われる見通し。

有明海で別に5遺体(7月9日)

  • 寸断され、大量の流木が積み上がった道を捜索に向かう消防隊員ら(8日午前10時43分、福岡県東峰村宝珠山で、本社ヘリから)=尾賀聡撮影
    寸断され、大量の流木が積み上がった道を捜索に向かう消防隊員ら(8日午前10時43分、福岡県東峰村宝珠山で、本社ヘリから)=尾賀聡撮影

 記録的な豪雨となった九州北部の被災地では8日、警察や消防など計約3000人が行方不明者の捜索や孤立者の救助にあたった。

 死者は福岡県朝倉市、東峰(とうほう)村、大分県日田市で計18人となった。福岡県などによると、朝倉市と東峰村で集落の孤立状態はほぼ解消される一方、日田市では500人以上が取り残されている。福岡県の避難指示は全て解除された。読売新聞の午後8時時点のまとめでは、福岡、大分両県で計1677人が公民館などに避難している。

 福岡県の災害対策本部によると、行方不明者は東峰村で1人。朝倉市は26人と連絡が取れていないという。

 福岡、佐賀県沖の有明海では8日、男女5人の遺体が相次いで見つかった。福岡、佐賀両県警などは被災地から流された可能性があるとみて身元を調べている。

救助活動続く(7月8日)

  • 土砂が押し寄せ車が埋まった住宅で捜索する自衛隊員(8日午前10時6分、福岡県朝倉市杷木松末で)=泉祥平撮影
    土砂が押し寄せ車が埋まった住宅で捜索する自衛隊員(8日午前10時6分、福岡県朝倉市杷木松末で)=泉祥平撮影

 九州北部の被災地では8日、行方不明者の捜索や孤立者の救助が続いた。

 死者は、福岡県朝倉市で新たに1人確認され、同市と東峰(とうほう)村、大分県日田市で計16人となった。新たに1歳男児を含む4人の身元も判明し、行方不明者は計15人。朝倉市と東峰村で集落の孤立状態はほぼ解消されたが、日田市では500人以上が取り残されている。

九州北部、引き続き警戒が必要(7月7日)

  • 川沿いの道路が崩壊し傾いた建物(7日午前9時36分、福岡県朝倉市杷木星丸で)=杉本昌大撮影
    川沿いの道路が崩壊し傾いた建物(7日午前9時36分、福岡県朝倉市杷木星丸で)=杉本昌大撮影

 福岡、大分両県を中心に九州北部地方で続く豪雨で、甚大な被害が出ている福岡県朝倉市や東峰村、大分県日田市などでは、7日午前、雨は弱まっているものの、地盤が緩んでいて、土砂災害の危険性が高い状態が続いている。

 気象庁は福岡、大分、熊本、山口の4県の一部自治体に土砂災害警戒情報を出し、注意を呼びかけている。

 同庁によると、大雨をもたらしている梅雨前線は西日本に引き続き停滞し、8日も大気の状態が非常に不安定となる。このため、九州北部を中心に、九州南部や四国、中国地方でも断続的に大雨となる見通し。気象庁は土砂災害や浸水、川の増水や氾濫への警戒を呼びかけている。

 大分県日田市では同日、新たに女性1人の遺体が見つかるなど、被害は拡大している。

豪雨で多くの死者、行方不明者(7月6日)

  • 住宅が流木にのまれた朝倉市杷木寒水周辺(6日午前9時16分、福岡県朝倉市で、読売チャーターヘリから)=大原一郎撮影
    住宅が流木にのまれた朝倉市杷木寒水周辺(6日午前9時16分、福岡県朝倉市で、読売チャーターヘリから)=大原一郎撮影

 九州北部は6日、活発な梅雨前線の影響で記録的な大雨が続き、6日までに福岡県朝倉市で4人、大分県日田市で2人の計6人の死亡が確認された。

 土砂災害や道路損壊なども相次ぎ、多くの地区が孤立。警察、消防、自衛隊が救助活動にあたった。

 気象庁は6日午後2時10分、福岡、大分両県に出していた大雨特別警報を解除した。同庁の松本積・主任予報官は「雨は小康状態となったが、新たに大雨が降れば特別警報を再び出す可能性がある」としている。

九州豪雨7日も…河川の氾濫などに警戒呼びかけ(7月6日)

 福岡、大分県内に大雨特別警報が出る中、気象庁は6日午前4時20分、大雨などに関する気象情報を出し、九州北部地方を中心とした大雨は7日にかけて続くとした。土砂災害や低い土地の浸水、河川の氾濫に厳重な警戒を呼びかけた。

 気象庁の発表によると、西日本に停滞した梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み大気は不安定になっている。前線は7日にかけて西日本に停滞し、このため、九州北部地方を中心に猛烈な雨は6日朝にかけて続き、7日も局地的に非常に激しい雨が降るとしている。

小学校で54人孤立…JR久大線の鉄橋流される(7月6日)

  • 橋げたが崩壊して流失したJR久大線の線路(6日午前7時11分、大分県日田市で)=中嶋基樹撮影
    橋げたが崩壊して流失したJR久大線の線路(6日午前7時11分、大分県日田市で)=中嶋基樹撮影

 福岡県と大分県内で大雨特別警報が出された5日、両県では約45万人に避難指示が出され、住民たちは被害の拡大に不安を募らせながら一夜を過ごした。「これまでに経験したことがないような大雨で、重大な災害が差し迫った異常事態だ」。気象庁の梶原靖司・予報課長は5日、記者会見を開き、厳重な警戒を呼びかけた。

 大雨による行方不明者の捜索やけが人の救助のため、政府は6日朝、自衛隊、消防、警察から計6000人規模を投入する。ヘリコプターも、自衛隊、海保、消防、警察から計60機程度出動させる方針だ。警察庁は5日夜、警備局に災害警備本部を設置。熊本、宮崎両県警の広域緊急援助隊を大分県に派遣した。

 福岡県朝倉市では5日午後7時現在、松末小学校の1階部分が浸水し、3階で子供18人を含む54人が孤立状態となっている。

 また、大分県日田市のJR久大線で花月川に架かる鉄橋が流失した。

大雨は中国地方でも

島根県に一時大雨特別警報…広島では男性死亡(7月5日)

  • 道路や民家の床下が崩落した現場(5日午前8時22分、島根県益田市西平原町で)
    道路や民家の床下が崩落した現場(5日午前8時22分、島根県益田市西平原町で)

 梅雨前線の影響で島根県は豪雨に見舞われ、気象庁は5日早朝、同県浜田市、益田市、邑南(おおなん)町、津和野(つわの)町に大雨特別警報を発表した。特別警報が発表されたのは、今年初めて。約5時間後の午前11時15分に解除された。

 5日午前10時現在、浜田、益田両市、邑南町の1万2223世帯(2万6850人)に避難指示が出された。広島市安佐北区では、高齢の男性が川に流され、救急隊員に助け出されたが、死亡が確認された。

「滝のような雨」、住民ら避難所に駆け込む(7月5日)

  • 避難所で疲れた様子を見せる人たち(5日午前10時32分、島根県浜田市金城町で)=里見研撮影
    避難所で疲れた様子を見せる人たち(5日午前10時32分、島根県浜田市金城町で)=里見研撮影

 4日夜から猛烈な雨が降り続け、大雨特別警報が出された島根県西部では、土砂崩れなどが相次ぎ、孤立状態となった集落も出た。

 「滝のような雨が続いた」。避難所に駆け込んだ住民らは、強まる雨音に耳を傾けながら、不安な時間を過ごした。

 同県浜田市金城かなぎ町波佐はざの若生わかお地区では、周囲の道路が崩れ、14世帯が孤立状態になった。68歳の男性は読売新聞の電話取材に、「近くの山から土砂がずり落ちてきそう」と不安そうに語った。同地区は民家が点在する山間部の集落で、近くの川は水かさが増しているという。市役所とは定期的に連絡を取っているが、「家から出ることもできない。どうしたらいいのか」と途方に暮れていた。

用語解説

大雨特別警報

 1時間に50ミリの雨が3時間以上続くといった、「50年に1度」の降水量が一定範囲以上で予想される場合、気象庁が発表して最大限の警戒を呼びかける。2011年9月の紀伊水害をきっかけに設けられ、13年8月から運用が始まった。

線状降水帯

 発達した積乱雲が帯状に集まる現象で、短時間に局地的な大雨をもたらす。積乱雲の帯の幅は20~50キロ・メートル程度で、長さは50~300キロ・メートルに及ぶ。2014年の広島土砂災害や15年の関東・東北豪雨でも発生している。

 気象庁によると、日本海側に高気圧が張り出した影響で、4日夜に梅雨前線が南下。さらに暖かく湿った空気が太平洋上の高気圧の縁を回り込み、対馬海峡付近から島根県西部の海上に流れ込んだため、中国地方を東西に横断する線状降水帯が生まれたという。

なぜ大雨に?~直前通過の台風小型、梅雨前線動かず

 九州北部などで記録的な大雨となった背景には、直前に通過した台風3号の規模が比較的小さく梅雨前線が停滞したままだったことや、東シナ海周辺の海面水温が高めだったことなどの要因があったとみられる。

 広島工業大の田中健路准教授(気象学)によると、この時期の台風は日本を通過する際に、梅雨前線を引っ張りながら太平洋側に移動することが多いという。しかし、4日に長崎市付近に上陸した台風3号は、規模が比較的小さかったため、日本列島上空に停滞する梅雨前線は動かなかった。田中准教授は「このため、日本には梅雨前線が残り、『台風一過』の晴れにはならず、雨が降り続いた場所がある」と、指摘する。

突然の豪雨で気を付けること

気象庁の大雨防災情報を確認

 気象庁は7月4日午後1時から、「浸水害」と「洪水害」の発生の危険度(リスク)が、ホームページの地図上で一目でわかる取り組みを始める。

 大雨の恐れがあると、市町村ごとに大雨警報が発表される。従来は「雨量」を基準にしていたが、同じ雨量でも災害が起きる場合と、起きない場合がある。また、警報が出た市町村のどこで危険度が高まっているのかはわからなかった。

 大雨による災害が各地で相次ぐ中、同庁が考案したのが「雨量指数」だ。まず2008年に大雨警報の発表基準に導入されたのが、「土壌雨量指数」。土壌中にしみ込んだ雨水の量に相当し、この指数に基づいて土砂災害が発生する危険度を判定する。

 同庁のホームページでは、国内を5キロ四方の格子(メッシュ)に区切り、危険度を5段階で色分けした地図「土砂災害警戒判定メッシュ情報」を見ることができる。地図は、10分ごとに更新される。

大雨警報(浸水害)の危険度分布(気象庁HP)

土砂災害警戒判定メッシュ情報(気象庁HP)

黒い雲、冷たい風 前兆現象に注意

 局地豪雨は、大雨警報などが出ていなくても発生することがある。天気予報を見る際は、雨マークや降水確率だけでなく、「寒気が流れ込む」「大気の状態が不安定」「雷を伴う」といった言葉が使われていないかもチェックしておきたい。

 その上で、局地豪雨の前兆現象を頭に入れて行動する。東京大・大気海洋研究所教授の新野宏さん(気象学)によると、〈1〉上空が黒い雲に覆われ、急に辺りが暗くなる〈2〉雷鳴が聞こえたり、稲光が見えたりする〈3〉ヒヤッとした冷たい風が吹き肌寒くなる――といった兆候がある。

 行楽地では、川が急に増水するので水遊びや釣りなどはすぐに切り上げる。都市部では、住宅の地下室や線路の下を通る「アンダーパス」などに一気に水が流れ込んでくるので近づかない。

豪雨時の運転 冠水道路は必ず迂回 脱輪やエンジン破損の恐れ

  • 流れ込んだ土砂や雨水で分断された道路をバイクを押して膝までつかりながら歩く男性(7月6日朝、福岡県朝倉市の古毛地区で)=飯島啓太撮影
    流れ込んだ土砂や雨水で分断された道路をバイクを押して膝までつかりながら歩く男性(7月6日朝、福岡県朝倉市の古毛地区で)=飯島啓太撮影

 豪雨時の車の運転は視界が悪くなるだけでなく、路面状況も分からなくなり危険が増す。

 台風や局地豪雨では、下水管の排水能力を超え、道路が冠水することがある。車の最低地上高(底面の高さ)より水深が浅ければ大丈夫だと思いがちだが、日本自動車連盟(JAF)東京支部の高木孝さんは「冠水した道路に遭遇したら、必ず迂回(うかい)してください」と注意を促す。濁った水に覆われた路面は、外れたマンホールや側溝が識別できず、脱輪の危険がある。

 線路や道路の下をくぐる「アンダーパス」は水が深くたまりやすい。JAFが行った実験によると、セダンタイプの車の場合、水深30センチの道を時速30キロ・メートルで走行すると、跳ね上げられた水がエンジンルームに入ってきた。

 ある程度浸水してしまうと、水圧でドアを開けられなくなる。万一に備え、窓ガラスを破るための緊急脱出用ハンマーや、シートベルトを切るシートベルトカッターを用意しておこう。車用品店などで購入できる。国民生活センターが2013年に行った製品テストによると、フロントガラスをたたいてもヒビが入る程度だった。ドアの窓ガラスを割って脱出するようアドバイスしている。

状況応じてSNS活用 「171」で伝言推奨

 災害が起きた時、真っ先に確かめたいのが、家族や友人などが無事かどうか。

 東日本大震災では通常の50~60倍もの発信などが集中し、8時間以上にわたり通話が規制された。

 国が呼びかけるのは、災害用伝言ダイヤルの利用だ。「171」をダイヤルし、音声案内に従って電話番号などを入力した後、メッセージの録音・再生をする。

 インターネットを使う手段は多い。大規模災害時、NTTや携帯各社がホームページ上に開設する専用の掲示板では、安否や避難場所などを文字で登録・確認ができる。グーグル、ヤフーなどが公開する専用データベースでは、名前から安否情報を検索できる。

 LINEやツイッター、フェイスブックなどのSNSでは、複数の人に情報発信がしやすい。相手がメッセージを読んだら「既読」と表示される機能があるものもあり、安否確認としても使える。

 電話やインターネットが使えない場合はどうすればいいか。津波や火災などのリスクがある中で被災地をむやみに捜し回るのは危険だ。避難所などを合流場所に決めておくと、身の安全にもつながる。

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過去の豪雨災害~鬼怒川の堤防決壊、広島土砂崩れ

関東・東北豪雨(2015年9月)

  • 鬼怒川の堤防が決壊し、浸水する住宅地など(9月10日午後2時10分、茨城県常総市で、本社ヘリから)=林陽一撮影
    鬼怒川の堤防が決壊し、浸水する住宅地など(9月10日午後2時10分、茨城県常総市で、本社ヘリから)=林陽一撮影

 気象庁によると、9月9~11日は、台風18号から変わった低気圧と台風17号の影響で、積乱雲が帯状に連なる線状降水帯が次々と発生、大雨をもたらした。関東や東北の統計期間10年以上の16地点で最大24時間降水量の観測史上1位の記録を更新した。鬼怒川の堤防が決壊するなどの水害が起こり、茨城、栃木、宮城の3県で計8人が犠牲となった。

広島土砂災害(2014年8月)

  • 局地的な豪雨で、土砂崩れが発生した現場(20日午前8時31分、広島市安佐南区八木で、本社ヘリから)=野本裕人撮影
    局地的な豪雨で、土砂崩れが発生した現場(20日午前8時31分、広島市安佐南区八木で、本社ヘリから)=野本裕人撮影

 広島市北部の安佐南、安佐北両区で20日未明、局地的に猛烈な雨が降り、南北約15キロにわたり10か所以上の土砂崩れが発生、多数の住宅に土砂が流れ込み、74人が亡くなった。初動対応を検証する広島市の「避難対策等検証部会」は、市が、災害時の対応手順を定めた「地域防災計画」に沿った対策をとっていなかった点や、計画自体の問題点を指摘し、計画の見直しなどを求めた。