震災7年

防災力をアップデート(中) 心も満足 グルメ非常食

  • 1人3日分セット「デイリーイザメシ」。記者が体験した
    1人3日分セット「デイリーイザメシ」。記者が体験した
  • 大きな骨つき鶏肉が入ったカレー
    大きな骨つき鶏肉が入ったカレー
  • レトルト食品を中心に種類が豊富
    レトルト食品を中心に種類が豊富
  • 開けてすぐ食べられるので、水や熱源が使えない非常時でも便利だ。種類も豊富で、とても非常食とは思えなかった
    開けてすぐ食べられるので、水や熱源が使えない非常時でも便利だ。種類も豊富で、とても非常食とは思えなかった
  • 一般食品メーカーが出したカレーやジュースなどの備蓄食、生活空間を邪魔しない持ち出し袋などが並ぶ防災コーナー(渋谷ロフトで)
    一般食品メーカーが出したカレーやジュースなどの備蓄食、生活空間を邪魔しない持ち出し袋などが並ぶ防災コーナー(渋谷ロフトで)

 首都圏も被災が想定される南海トラフ巨大地震で政府が推奨する家庭の備蓄は「7日分」。一般的な「3日分」でもなかなか大変だ。不足分への対応として、多めに買い置きして、日常的に補充しながら使う「ローリングストック(日常備蓄)」という手法が注目されている。非常食なら、手近な台所などに蓄え普段から食べ慣れておける。対応品を実際に食べてみると、備蓄用とは思えないおいしさ。飢えをしのぐだけではなく、心も満たされた。(地方部・松崎美保)

■生野菜不足だが体調は良好

 「ごろごろ野菜のビーフシチュー」「ヨーグルトが隠し味のスパイシーチキンカレー」ーー。非常食とは思えないおしゃれな名前が並ぶ。杉田エース(東京都墨田区)が2014年9月から販売する長期保存食「IZAMESHI(イザメシ)」は、ご飯、めん類、パンなどの主食のほか、煮物、魚、肉料理、スイーツと約40種を展開する。

 大部分がレトルト食品で賞味期限は3年。常温で、多くは水やお湯が無くても封を開けてそのまま食べられる。

 記者も1人9食分のセット「デイリーイザメシ」(1万800円)だけで足掛け4日、丸3日間を過ごしてみた。品数は21。全体的に味が濃すぎず、だしが利いていた。2日目に無性に生野菜や果物が欲しくなった以外はひもじい思いをすることもなく体調もよかった。和食も充実していて、高齢者にも喜ばれるのではないか。

■アレンジレシピもいろいろ

 「避難中、食事が単調で辛かった」という人が多かった東日本大震災を教訓に、杉田裕介社長(43)が「普段でも食べたくなるものを」と、3年がかりで商品化した。杉田社長は「家庭の味に近づけた。独り暮らしや体調が悪い時にも活用でき、贈答品としても人気」といい、さらに品数を増やす予定。カレードリアやサンドイッチなど、飽きずに食べられるようアレンジレシピもホームページで公開している。

 一般食品メーカーも備蓄に対応できる商品を出している。カゴメは賞味期限を3年~5年半に延ばした野菜スープや野菜ジュースを13年から販売。永谷園も18年3月、フリーズドライのごはんやみそ汁、食物アレルギーに配慮した「あたためなくてもおいしいカレー」を詰め合わせた「防災備蓄セット」(5900円)を通販で発売した。

■野菜ジュースなども有益

 「試しに数日、備蓄した食料で過ごしてみて」と提案するのは、「本気で取り組む災害食」(同時代社)を出版した日本災害食学会顧問の奥田和子さん(甲南女子大学名誉教授)。阪神大震災で被災し、東日本大震災や熊本地震の被災地でも調査を行った。阪神大震災の発生3か月後に、奥田さんらが避難所で暮らす270人を対象に行った調査では、4割が野菜不足によるとみられる便秘の症状を訴えたという。

 炊き出しで支給されるのは、主におにぎりやパンなどの主食で、食物繊維やビタミンが足りない。「野菜を豊富に使ったジュースやスープ、果物の缶詰は備蓄向き。干し柿や室温で持つ果物、離乳食なども」。ライフラインの途絶を考え、「生米やそうめん、カップめんなど調理に水や熱源が必要な食品や、塩分の多い漬物・おかずなどは向いていない。スーパーで食べきりサイズを多めに買い、食べ慣れておくといい」(奥田さん)。

  • 「水や熱源が必要な食品、塩辛い食品などは備蓄向きではない。そのまま食べられ、食物繊維やビタミンが取れる食品が良い」(奥田さん)
    「水や熱源が必要な食品、塩辛い食品などは備蓄向きではない。そのまま食べられ、食物繊維やビタミンが取れる食品が良い」(奥田さん)

こんなグッズも

■おしゃれに進化 非常持ち出し袋

  • グッドデザイン賞の非常持ち出し袋
    グッドデザイン賞の非常持ち出し袋
  • アニメキャラクターを使った非常持ち出し袋。ぬいぐるみのように飾っておくこともできる
    アニメキャラクターを使った非常持ち出し袋。ぬいぐるみのように飾っておくこともできる

 非常持ち出し袋も進化している。

 防災防犯ダイレクト(長野市)の「非常持出袋」(バッグのみ1万800円~)は、従来の銀色ナップサックのイメージを一新、スタイリッシュな縦長のリュックだ。人目につく場所にも置けるよう、色のバリエーションも豊富。12年にグッドデザイン賞を受賞した。水や多機能ライトなどの防災グッズを入れた「30点避難セット」(1万9800円)もある。

 18年3月には、東日本大震災や熊本地震での被災者の声を参考に、容量を3リットル拡大し、ポケットやファスナーを増やした改良版「非常持出袋plus+」(バッグのみ1万6200円)に2人分の防災グッズをセットした「30点避難セットplus+」(2万4800円)を発売。

 塚本祐平社長(37)は「見た目が悪くては押し入れなどにしまいがちで役割が果たせない。玄関やリビングにも違和感なく置けるよう開発し、シリーズで約15万個売れた」としている。

 渋谷ロフトの防災用品売り場では、人気アニメキャラクター「ミニオンズ」の子ども向けリュック型防災セット(6981円)や、A4サイズの箱に水や簡易トイレなど13品が収まる「セカンドエイド」(9504円)を置く。売り場担当の長谷川恭子さん(38)は「邪魔にならず身近に置けるので、キャラクターものや、本棚や引き出しに収まる商品が増えている」と話す。

(リンク先)

杉田エース「イザメシ」

http://izameshi.com/

防災防犯ダイレクト

http://www.pro-bousai.jp/index.html

永谷園

http://www.n28.jp/

カゴメ

http://www.kagome.co.jp/campaign/hozon-yasai/

セカンドエイド

http://www.thesecondaid.jp/

奥田和子さん「本気で取り組む災害食」

http://www.doujidaisya.co.jp/book/b243459.html

■ごちそう非常食「イザメシ」で3日間生活してみた(動画)