働きやすい職場づくり「午後5時閉店」の美容室

  • 午後4時半過ぎ、同僚の髪でセットの練習をする青木さん(奥)
    午後4時半過ぎ、同僚の髪でセットの練習をする青木さん(奥)

 夜までの営業が一般的な美容業界で、「午後5時閉店」を導入した美容関連会社が北九州市にある。

 市内に美容室を4店舗展開する小倉北区の「セレーノ」。働きやすい職場づくりとして始めた取り組みは、顧客に受け入れられ、経営も順調に推移している。昨年度には先進的な取り組みとして、市から表彰された。「スタッフが幸せでなければ、お客さんに満足は届けられない」。社長の宮大輔さん(42)はこの思いで店を切り盛りしている。

 日も沈んでいない午後4時半、門司区の「セレーノ門司下二十町店」では、スタッフの青木唯さん(25)が同僚スタッフの髪をセットをしていた。同店では、スタッフが持ち回りで時間を決め、営業時間中にセットの練習をする。「日が落ちる前に仕事が終わるので、有意義に時間を過ごせる。お客さんとの話題の幅も広がった」と青木さんは笑顔だ。

 2000年に父親が経営する美容会社に入社した宮さんは、夜遅くまで働き「美容師と主婦は両立できない」と辞めていく従業員を何人も見てきた。

 「お客さんにもスタッフにも優しい職場にしたい」。入社から10年ほどが過ぎ、父親から任されていた「三萩野店」で営業時間の短縮に踏み切った。閉店時間をこれまでの午後8時から午後6時に。最終的には同5時閉店とした。

 「なぜこんなに早く閉めるの」「他の美容院に変える」――。営業時間の変更に、なじみの客からは苦情が相次ぎ、売り上げは以前に比べて約2割も減った。

 経営は厳しかったが、常連客らには午前中や多くの美容室が定休日の月曜の来店を勧めたり、丁寧な接客を心がけたりして理解を求めた。

 一方で、コスト感覚を持ってもらおうと、スタッフに店の損益計算書を公開。すると、トリートメントなどの備品を使いすぎないように気を付けたり、短時間でカットを終えられるように技術を磨いたりと、スタッフ一人ひとりが効率化を意識するようになった。経営は徐々に軌道に乗り始め、13年2月に独立、3年目には黒字化を達成した。

 宮さんは「うちが、こういう店だと、お客さんに理解してもらえたことが大きい」と取り組みを振り返る。16年11月には市から模範的な企業を表彰する「ワーク・ライフ・バランス表彰」の市長賞も受けた。次の目標は「70歳でも働ける職場」という宮さんは、「今後も職場環境の改善を続けていきたい」と夢を語る。(後藤敬人)

2018年2月14日08:03 Copyright © The Yomiuri Shimbun