中日新聞の記者、元暴力団員に警察発表文を提供

 中日新聞名古屋本社で警察担当だった30歳代の男性記者が、暴力団事件に絡む逮捕者の氏名などが記された愛知県警の発表文を複数回にわたって、元暴力団組員に提供していたことが16日、わかった。

 元組員は今年4月に強要容疑で逮捕、起訴された男(55)で、同社は、事実関係を認め、「誠に遺憾で重く受け止めている」と記者の処分を検討している。

 同社によると、男性記者は愛知県警記者クラブで暴力団事件などを担当。2年ほど前、取材を通して元組員の男と知り合い、その後、複数回にわたって、県警が報道各社に提供した暴力団事件に関する発表文を携帯電話で撮影し、無料通信アプリ「LINEライン」で男に送信。男性記者は男が元組員と知っており、逮捕された暴力団関係者のことを取材するために提供したという。

 男は、プロ野球中日ドラゴンズの私設応援団長らを脅して辞任させたとして、4月、愛知県警に強要容疑で逮捕、起訴された。男性記者は事件当日、男に呼び出されて強要の現場とされる名古屋市内の飲食店に居合わせていたといい、男が逮捕された翌日、上司に報告して問題が発覚。同社は男性記者を県警担当から外した上で、県警に謝罪したという。

 中日新聞名古屋本社の寺本政司・編集局次長は「取材上知り得たものを第三者に提供したのは誠に遺憾で、記者倫理に反する行為であり、関係者の方々におわびする。再発防止に向け、社員教育を徹底する」と話している。

 服部孝章・立教大名誉教授(メディア法)の話「報道目的で得た情報をほかの形で流すことはあってはならず、ましてや相手が元暴力団組員であれば、なおさらだ。社会にとっての利益を引き出すという報道機関の大きな目的を忘れ、目先の取材の利益だけのために動くことはあってはならない」

2018年5月17日08:44 Copyright © The Yomiuri Shimbun