2018大学入試センター試験 倫理、政治・経済 問題分析

ヨミウリ・オンラインの大学入試特集では、2018大学入試センター試験の問題、正解、分析を速報します。問題と正解は大学入試センター発表。分析は代々木ゼミナール。

総評と分析

倫理分野では、設問数が1問減少。政経分野では、安全保障関連法やベーシック・インカムといった時事的出題が特徴的である。


倫理分野では、設問数が1問減少。8択形式の出題が減少し、オーソドックスな内容理解を問う設問が多かった。政経分野では、2015年に成立した安全保障関連法やフィンランドで社会実験中のベーシック・インカムといった時事問題の出題が特筆される。

問題分析

大問数 大問数6は、昨年度までと同じ。
設問数 設問数は、倫理分野18、政経分野18で、昨年度より1問減少。
解答数 解答数は、倫理分野18、政経分野18で、昨年度より1問減少。

問題量

  • 設問数は倫理分野(第3問)で昨年度より1問減少。選択肢文の長さは2~3行程度で、全体的に受験生の負担が軽減される分量となった。政経分野では、空欄補充問題を含め組合せ形式の設問が昨年度の4問から7問へと増えた。

出題分野・出題内容

  • 第1~3問が倫理分野、第4~6問が政経分野という構成で昨年までと変化なし。
  • 第1問(現代社会・青年期)は「倫理」第1問からの抜粋。第2問(東洋思想)は「倫理」第2問と第3問からの抜粋、第3問(西洋思想)は「倫理」第2問と第4問からの抜粋であった。オーソドックスな内容理解を問う設問が多かった。
  • 第4問(近代国家の歴史)は「政経」第1問からの抜粋、第5問(国家間・地域間・個人間格差)は「政経」第3問からの抜粋、第6問(男女間の格差)は「政経」第4問からの抜粋であった。第5問と第6問とで格差問題を広く扱った点のほか、安全保障関連法やベーシック・インカムなどの時事的出題が特筆される。

出題形式

  • 倫理分野は、8択形式の設問が昨年度の5問から2問に減少したが、4択や6択の正誤組合せ形式の設問が3問みられた。また、図表の読解問題の出題がなかった。政経分野では文章空欄補充を含め組合せ問題が7問に増えた(昨年度は4問)。昨年度あった形式のうち、年代順の問題がなくなった。

難易度(全体)

  • 倫理分野では、設問数が1問減少した。図表の読解問題の出題がなく、また各選択肢文の長さも2~3行程度となり、受験生にとっては負担が軽減したと感じられる分量であっただろう。内容も昨年に比べてオーソドックスなものが多く、昨年度よりも易化した。一方、政経分野では、6択以上の設問数が昨年度の2問から4問(うち1問は8択形式)へと増えたものの、とくに政治分野の設問が易しめであるから、難易度は昨年度並み。全体として、昨年度よりも易化した。

設問別分析

第1問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 現代の社会や心理をめぐる諸問題~「純粋な善意」をめぐって やや易

「倫理」第1問からの抜粋が中心。動機の利己性・利他性と、それが行為に及ぼす結果をめぐる意見の対立を扱った本文を軸に、現代社会や心理学の分野が中心に出題された。近年出題が続いていた図表資料の読解問題が出題されなかったことと、全5問中2問が青年期・心理学分野からの出題であったことは特筆される。問4の資料文は、国境なき医師団による「ノーベル賞受賞講演」。問5はセンが説いた「潜在能力」の開発について正確に理解できているかが問われており、やや細かい。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 東洋思想の総合問題~教えるという営み やや易

「倫理」第3問からの抜粋が中心。日本の先人たちと「教え」との関わりを扱った本文を軸に、東洋思想が総合的に出題された。全体的に、各選択肢文が2行程度になり、読解量が減少した。問4の空欄補充問題は、人物の組合せ形式の出題であった。富永仲基は受験生に馴染みが薄いかもしれないが、消去法でも解答可能。貝原益軒は昨年度も出題があった。問6は、三宅雪嶺の立場を、西村茂樹・阿部次郎・北一輝などを念頭に置いた選択肢の中から判定する設問。やや発展的で、判断に迷った受験生もいたかもしれない。

第3問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
18 西洋思想の総合問題~「遊び」という意味 やや易

「倫理」第4問からの抜粋が中心。設問数が昨年度よりも1問減少し、配点がすべて3点になった。人間や社会にとっての「遊び」の意味をめぐる文章を題材に、西洋思想から総合的に出題された。テーマと関連して、問4ではロジェ・カイヨワ『遊びと人間』の資料文読解が出題された。問1のパウロの思想、問2のロックの社会思想は基礎的理解が問われた。問3のカーソンは、第3問での出題は珍しい。問5の預言者イザヤはやや細かい。

第4問 (22点満点)

配点 出題内容 難易度
22 近代国家の歴史(需要・供給曲線、ローレンツ曲線、安全保障など) やや易

第4問は「政治・経済」第1問から8設問を抜粋して構成。問1の空欄イでは立憲主義の理解が問われた。問2(人権の分類)・問3(米英の政治制度)・問4(法の支配)は易しい。問5(需要・供給曲線)は標準問題だが、問題演習経験の少ない受験生でも落ち着いて考えれば正解に至る。問6は、ローレンツ曲線の描き方をきちんと学習した人にとっては易しい。問7(電力)は小売自由化などの知識を要する。問8(日本の安全保障問題)も知識問題であり、問7とともに正答率は第4問の中では低めとなるであろう。

第5問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 国家間・地域間・個人間格差(ベーシック・インカム、社会保障など) やや易

第5問は「政治・経済」第3問から5設問を抜粋して構成。問1の「トレード・オフ」「ベーシック・インカム」や問2の「フェアトレード」は高校教科書の掲載例の少ない語だが、フィンランドでの社会実験などで注目されているベーシック・インカムは私大入試での出題例が増えている。問3(主要国の一次エネルギー供給)は大学入試の定番的な設問なので、問題演習経験の多い人にとっては易しい。問4(社会保障)ではフィラデルフィア宣言の知識が必要なので、正答率は低めだったであろう。問5(教育費支出)は知識不要の資料読解問題なので、落ち着いて考えれば易しい。

第6問 (14点満点)

配点 出題内容 難易度
14 男女間の格差(女性の割合、国会、性差別、雇用形態など) やや易

第6問は「政治・経済」第4問から5設問を抜粋して構成。問1の表は日米独仏の男女格差を示すが、選択肢は各国の政治制度の記述で始まり、事実上は各国の政治制度の問題になっている。問2(国会の臨時会・特別会・緊急集会)は易しい。問3(性差別)はアファーマティブ・アクション(ポジティブ・アクション)の知識があれば、問4(雇用形態)は労働者派遣法の知識があれば、易しい。問5の選択肢2(参議院議員の被選挙権年齢が衆議院議員の被選挙権年齢より高い)は、違憲とされていないので誤り(正解)。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度
平均点 66.63点 60.5点 59.57点 67.29点 60.68点
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