2018大学入試センター試験 生物 問題分析

ヨミウリ・オンラインの大学入試特集では、2018大学入試センター試験の問題、正解、分析を速報します。問題と正解は大学入試センター発表。分析は代々木ゼミナール。

総評と分析

問題ページ数や図表の数が増加し、選択肢数9個の設問もあるなど、内容的には標準的であるが、昨年よりも若干取り組みにくくなった。


必答問題の各大問はA・Bに分割されることで、生物全分野から標準的な内容が幅広く出題されている。また選択問題は、ミクロな視点の遺伝子組換え実験、マクロな視点の生態と進化という大きく異なった捉え方からの出題となった。

問題分析

大問数 大問数は7で、第1問~第5問は必答、第6問・第7問から1題選択は昨年と同じ。
設問数 全設問数は32で昨年(32)と同じ、選択によって設問数には差が生じなかった。
解答数 全解答数は37で昨年(38)と同程度、選択によって解答数には差は生じなかった。

問題量

  • 選択問題を含めて考慮すると、問題ページ数はともに32ページで、昨年(30ページ)より若干増加。また、図・表・グラフの数は15か16であり、昨年(11)よりも増加した。選択肢数も9個の設問が2題出題されている。なお、昨年と異なり、選択問題によって設問数・解答数ともに差が生じるということはなかった。

出題分野・出題内容

  • 第1問は「生命現象と物質」から、第2問は「生殖と発生」から、第3問は「生物の環境応答」から、第4問は「生態と環境」から、第5問は「生物の進化と系統」から出題された。第6問と第7問は選択問題であり、第6問ではミクロな視点から「遺伝子組換え実験」が、第7問ではマクロな視点から「生態と進化」が出題された。
  • 第2問のBでは、過去2015年・2016年でも扱われている「花粉管の誘導」をテーマとした出題であった。
  • 第5問のAでは、計算させない遺伝子頻度の問題や塩基配列の図から読み取る分子時計の問題が、内容的にやや新しいと思われる。
  • 第7問では、仮説を提示し、それを支持するように実験結果を予想させる、探究活動的な内容が出題された。

出題形式

  • 第1問から第5問までの大問はA・Bの2分割形式であるのに対し、選択問題の第6問と第7問は分割されておらず、また配点も10点と少なかった。

難易度(全体)

  • 標準的な内容の問題が多いものの、昨年度よりページ数や図表の数が増加して読み取りに時間がかかり、選択肢数が9個の設問もあるなど若干取り組みにくくなったことから、昨年度よりも難易度はやや難化したと思われる。

設問別分析

第1問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A9 タンパク質のはたらき 標準
B 9 mRNAの合成 やや難

A:問1はインスリンの作用経路や構造についての知識が問われた。インスリンが2本のポリペプチド鎖からなることは、一部の教科書では「参考」で扱われている。B:問5は、RNA中と2本鎖DNA中のシトシンの数の比率から、RNA中のグアニンの数の比率を求める計算問題。RNA中のシトシンが15%であることから、鋳型鎖DNA中のグアニンは15%であるが、DNAは2本鎖なので、DNA全体に占める比率は7.5%になることに注意する。

第2問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A9 両生類の初期発生 やや難
B 9 花粉管の誘導 標準

A:問1では教科書の「参考」で扱われている原基分布図が出題された。ア・イ・ウが中胚葉でエが内胚葉であることと、ウが原口のできる位置の上にあることから脊索であるとわかれば答えが選べる。問2は外胚葉領域の細胞層の変化についての実験考察問題。遺伝子AはS層特異的に発現していることから、遺伝子Aの機能=S層の機能と捉えてよい。B:2015・2016年にも出題された「花粉管の誘導」をテーマとした問題。問3は条件dと他の条件を比較すれば、誘因には花柱の長さと時間が関与することが読み取れる。

第3問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A9 筋収縮 標準
B 9 植物の病害抵抗性反応 標準

A:問1と問3は筋収縮のしくみに関する基本的な知識問題。問2は、図1より80ミリ秒後では筋肉の長さが回復する前に次の刺激が加えられるので不完全強縮が起こり、160ミリ秒後では単収縮が起こることが読み取れる。B:植物の病害抵抗性反応という目新しい題材からの出題。問5は、遺伝子Xを欠く突然変異体では、遺伝子Yの有無に関わらず病害抵抗性反応が抑制されない。

第4問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A9 窒素循環、物質生産 やや易
B 9 カッコウの托卵、生物多様性 標準

A:問1は窒素循環、問3は物質生産に関する基本的な知識問題であった。問2は物質生産の計算問題であったが、設問文中に成長量の求め方が書かれているため成長量と枯死量と被食量を単純に足すだけでよい。B:問4は、カッコウの托卵によって起こるカッコウとカラスの相互作用が、捕食者の少ない年と多い年で変化することが、図1から読み取れるかどうかがポイントであった。問5の生物多様性に関する知識問題は、内容は標準的であるが選択肢の文がやや長く丁寧な検討が必要であった。

第5問 (18点満点)

配点 出題内容 難易度
A9 ヘモグロビン遺伝子の突然変異と進化 やや難
B 9 生物の適応と進化 標準

A:問1は、マラリア流行地域とそれ以外の地域におけるヘモグロビンの遺伝子頻度を、計算させずに比較させる問題であった。問2は、図1より種Aと種Bでは6個、種Aと種Cでは2個の塩基が異なることから、9000÷6×2。B:問4は2種の被子植物の適応に関する実験考察問題であった。図2は適応している種の方がグラフの値が低いので若干わかりにくかったかもしれないが、選択肢の内容を最後まで丁寧に検討すれば正答となる明らかな誤りが見つかる。問5は植物の進化、問6は適応放散に関する基礎知識であった。

第6問 (10点満点)

配点 出題内容 難易度
10 遺伝子組換え実験 標準

遺伝子組換え実験は、国公立2次試験や私立大入試では頻出のテーマであるものの、センター試験では初めての出題であり、類題を解いたことがないとやや難しかったかもしれない。問2は、プラスミドZはアンピシリン耐性遺伝子しかもたないため、カナマイシンを含む培地Cでは生存できない。問3は、プラスミドXはGFP遺伝子をもたないため(1)(2)は誤りである。また、寒天培地AではプラスミドYを導入できなかった大腸菌も生存でき、緑色蛍光を発するコロニーと発しないコロニーが混在するため(3)(4)は誤りである。

第7問 (10点満点)

配点 出題内容 難易度
10 生物の生態と進化 標準

問1は学名の理解を問う設問である。二名法は属名+種小名なので、マダラとシロエリは同じ属に属し、当然その上位の分類階級である科も同じである。問3の実験2で区別ができない同所的分布域では、マダラの中では黒型雄よりも区別しやすい茶型雄の方を多く選ぶことになる。また、同所的分布域ではマダラ黒型雄とシロエリを区別できないことから、実験3で選択する割合は同じになるものと考えればよい。

大学入試センター試験平均点(過去5年分)

年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度
平均点 68.97点 63.62点 54.99点
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