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[平昌へ 期待のエース]けた違いの推進力…高木美帆(2018年1月11日)

◇スピードスケート女子 高木美帆 23(日体大助手)

  • W杯第4戦の女子1500メートルで日本新で優勝し、観客の歓声に応える高木美帆(昨年12月9日、米ソルトレークシティーで)=武藤要撮影
    W杯第4戦の女子1500メートルで日本新で優勝し、観客の歓声に応える高木美帆(昨年12月9日、米ソルトレークシティーで)=武藤要撮影

 どれだけ世界を驚かせようとも、今シーズンは半信半疑を貫いてきた。「8年前や4年前の悔しさや雪辱は、五輪の舞台での結果でしか晴らせない」という一念がそうさせる。

 「神の子」と呼ばれた中学時代から類いまれな滑りと恵まれた体格で、群を抜いてきた天才スケーター。15歳で2010年バンクーバー五輪に出場したが、代表入りが確実視されたソチ五輪は選考会で落選。初めて精神的な甘さを突き付けられ、苦い記憶として残った。

 だから、「この4年間はスケートに全てをかける」と甘えを捨てた。輝きが消えかかった原石を再び磨いたのが、ナショナル中長距離チームのヨハン・デビットコーチ。強度の高い自転車トレーニングなどで体脂肪をそぎ落とし、筋量を増やした。持ち味の大きな滑りにパワーが加わり、氷上で発揮される、けた違いの推進力を作り上げた。

 それを証明したのが、昨年12月、W杯第3戦の3000メートル。ハイスピードでラップを刻みながら、終盤も上体をぶらさず、3分57秒09の日本新で初制覇した。「直線はさーっと進んで、コーナーも余力を持って回る」という理想の滑りで、1000メートルから3000メートルまで種目に応じた攻め方を器用に出せるようになった。

 もはや各種目で世界に追われる立場となった。それでも、「五輪を見据えると力が及ばない。残りの期間、ひたすら速く滑ることに向き合いたい」。本人が最も嫌う「おごり」や「過信」が付け入る隙は1ミリも作らない。(上田真央)

 

 ◇たかぎ・みほ 1994年生まれ。北海道幕別町出身。中学3年で出場した2010年バンクーバー五輪は1000メートル35位、1500メートル23位。17年2月の世界距離別選手権で1500メートルで3位。翌月の世界選手権で総合3位に入った。今季はW杯1500メートルで4戦4勝、団体追い抜きでは3度世界新を更新した。1メートル64、58キロ。

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2018年1月18日11:41 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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