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[平昌へ 期待のエース]女王 反撃への助走…高梨沙羅(2018年1月13日)

◇ノルディックスキージャンプ女子 高梨沙羅 21(クラレ)

  • W杯個人第5戦の予選を首位で通過し、笑顔を見せる高梨沙羅=上甲鉄撮影
    W杯個人第5戦の予選を首位で通過し、笑顔を見せる高梨沙羅=上甲鉄撮影

 理想のジャンプ、特に助走から踏み切りまでの動作について聞かれると、決まって話す言葉がある。

 「Rでジャンプ台特有のGを感じて、カンテでそれを素直にはね返すこと」

 難解な呪文のように聞こえるが、かみ砕くと、こういうことになる。

 踏み切り台(カンテ)の前の曲線(R)を通過する際、下に引っ張られる力(G)に耐えながら助走の姿勢を維持して滑り、Gを両足でしっかりはね返しながらカンテで立ち上がる。そうすれば、飛び出しの初速度を高め、飛距離も伸ばせるというわけだ。

 中学時代から世界のトップレベルで戦い、ワールドカップ(W杯)で男女を通じ歴代最多タイの4度の個人総合優勝という栄光の記録を打ち立ててこられたのは、女子の中でもこの技術をいち早くマスターしていたからだ。

 その女王が今季、苦しんでいる。天候の影響でシーズン前に予定していたジャンプ練習の本数をこなせず、納得のいく助走姿勢が組めていなかった。W杯の序盤4試合を未勝利で終え、「踏み切りの時に、最大限の力をカンテで伝えられていない。自信が持てるまでの練習ができていなかった」と反省が口をついた。

 反撃の糸口は明確だ。本来の助走を取り戻すこと。そうすれば相乗効果が期待できる技術で、今季レベルアップした部分がある。ソチ五輪では入れられなかった着地のテレマーク姿勢だ。

 昨夏前から男子のトップ選手のテレマークを入れるタイミングや腕の高さ、足の開き方をチームスタッフと分析した。1メートル52の小さな体を大きく見せるため、両腕を左右に広げる高さも昨季から約30センチ高く設定し、足も更に1足分前後に広げて着地する練習を繰り返してきた。

 飛距離が伸び、更にテレマーク姿勢をきっちり入れられれば、おのずと高い飛型点を得られる。着地の失敗も頭をよぎるから恐怖心との戦いでもあるが、「気合で足を出して、お尻の筋肉で耐える。それを意識して練習している」と言う。

 五輪代表内定が発表された11日、「この4年、ソチでの悔しさをバネに練習に励んできた」と振り返り、力強く言い切った。「目標は金メダル。五輪に向けて自分を高め、4年に1度のチャンスをつかみたい」(増田剛士)

 ◇たかなし・さら 1996年生まれ。北海道上川町出身。17歳で初出場した2014年ソチ五輪は日本勢最高の4位。世界選手権では13年に銀、17年に銅メダルを獲得。W杯通算53勝は男女を通じて歴代最多タイ。1メートル52、44キロ。

2018年1月24日15:09 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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