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[平昌へ ライバルたち]円熟キング 死角なし…エリック・フレンツェル(2018年1月19日)

◇ノルディックスキー複合 エリック・フレンツェル 29(独)

  • W杯で個人総合5連覇を達成しているエリック・フレンツェル(ノルウェー・リレハンメルで、昨年12月)=上甲鉄撮影
    W杯で個人総合5連覇を達成しているエリック・フレンツェル(ノルウェー・リレハンメルで、昨年12月)=上甲鉄撮影

 ジャンプ、距離ともに穴がなく、にくいほどの勝負強さも併せ持つ。現時点で最強の複合選手「キング・オブ・スキー」と呼ぶにふさわしい存在だ。

 2014年ソチ五輪個人ノーマルヒルでは、後半距離で渡部暁斗(北野建設)と一騎打ちとなり、最後にスパートで突き放して初の五輪金メダルを獲得した。敗れた渡部暁も、その圧倒的な勝負強さに「僕がファンだったら、応援したくなる選手」と言う。

 昨季も底力を示したシーズンだった。同じドイツのヨハネス・ルゼックが開幕から絶好調で、昨年2~3月の世界選手権でも個人2冠を達成。完全に勢いはルゼックにあった。しかし、同選手権後、再開したワールドカップ(W杯)で真価を見せた。終盤3試合で連勝し、個人総合でルゼックを逆転。5季連続の総合優勝を決めた。2人に続いて総合3位だった渡部暁は「誰にもない爆発力を持ち、ここで勝ったら大逆転という場面で決めてくる。ドラマを生み出す能力がずばぬけている」と脱帽する。

 2歳でスキー板を履き、6歳でジャンプを飛んだ。才能にあふれた少年は、一つの種目に絞るのを嫌がった。「ジャンプもクロスカントリーも両方好きだし、やっていて幸せを感じる。ノルディック複合は僕にとって必要なスポーツだったんだ」。2007年にW杯に初出場し、翌年1月に初勝利。今季の1勝も含め、42勝を積み上げた。ハンヌ・マンニネン(39)(フィンランド)の歴代最多48勝の更新も完全に視界に捉えている。

  • ジャンプも距離も穴がなく勝負強いエリック・フレンツェル(ノルウェー・リレハンメルで、昨年12月)=上甲鉄撮影
    ジャンプも距離も穴がなく勝負強いエリック・フレンツェル(ノルウェー・リレハンメルで、昨年12月)=上甲鉄撮影

 「ジャンプがハイレベルで、距離も強い」と認める渡部暁とは不思議な縁がある。同じ1988年生まれの29歳。ドイツ東部にある練習拠点のオーバービーゼンタールは、渡部暁の出身地、長野県白馬村と友好都市の関係だ。共に脂の乗った時期に巡ってくる五輪の舞台。「ノーマルヒルは連覇がかかるし、今季の最大の目標だ。アキトも僕に勝つのが大きなモチベーションなのかもしれないね」。ライバルとの決戦を心待ちにしている。(増田剛士)

 1988年生まれ。五輪はバンクーバー、ソチの2大会に出場し、個人、団体で金、銀、銅の計3個のメダルを獲得。W杯通算42勝は歴代2位。1メートル76、62キロ。

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2018年1月25日11:14 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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