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[平昌へ ライバルたち]復調の女帝 小平追う…李相花(2018年1月20日)

◇スピードスケート女子  李相花 ( イサンファ )  28(韓国)

  • W杯女子500メートルで2位になった李相花(オランダ・ヘーレンフェインで、昨年11月撮影)
    W杯女子500メートルで2位になった李相花(オランダ・ヘーレンフェインで、昨年11月撮影)

 韓国メディアから「女帝」と呼ばれる。強靱(きょうじん)な下半身から生み出されるスタートの爆発力とカーブ技術で、2010年バンクーバー五輪で優勝した20歳の頃からトップに立ってきた。だから、王者の風格が自然とにじみ出る。

 「もうナーバスにはならない。すでに金メダルを二つ取っているし、今はバンクーバー五輪の時のような気持ちでいる」。女子500メートルで五輪2連覇を果たしたスターでありながら、自国開催の五輪にも肩に力が入った様子はない。

 バンクーバー五輪までは当時の世界記録保持者、ジェニー・ウォルフ(独)という絶対的な存在がいた。ワールドカップ(W杯)前半8レース無冠で臨んだ同五輪だったが、スピードスケート女子でアジア勢初の金メダリストとなった。14年ソチ五輪は、今も破られていない36秒36の世界記録を引っさげ、W杯の出場7レース全勝で臨んだ大会だった。金メダル大本命の重圧を感じた4年前とは違い、今は再び挑戦者の気持ちに戻れている。

 ここ数年はけがに苦しんできた。左膝には慢性的な痛みが残り、昨季は右ふくらはぎも痛めた。W杯500メートルで通算30勝以上を挙げてきたが、15~16年シーズンを最後に1勝もできていない。それでも、昨年2月の世界距離別選手権や冬季アジア札幌大会では、台頭した小平奈緒(相沢病院)に次ぐ2位に入った。

 シーズンオフに三つの病院を駆け回り、痛みの原因を特定できたため、今季は痛みなくレースに臨む。そこに立ちふさがるのが「親友だけどライバル」と認める3歳年上の小平だ。W杯第2戦では1秒離されたレースもあったが、第3戦からは小平と同じタイプのブレードに替え、第4戦の最終レースでは0秒25差。得意な最初の100メートルでも復調の兆しを見せた。

  • 昨年2月の冬季アジア札幌大会で、小平奈緒と握手する李相花(右)
    昨年2月の冬季アジア札幌大会で、小平奈緒と握手する李相花(右)

 小平も「サンファもブレードを乗りこなしてきている。隙をつくらないように、もう1段、2段上げたい」と常に意識を向ける。一緒に買い物に行ったり、言語を教え合ったりしてきた仲で、レース後も互いをたたえ合って会話を交わす2人だけの世界がある。それでも、「(小平は)気にはならない。五輪に向けて感覚を良くするだけ」。虎視たんたんと母国での栄光を狙う。(上田真央、おわり)

 1989年生まれ。世界距離別選手権では3個の金メダルを獲得。2013年11月にW杯ソルトレークシティー大会で世界記録(36秒36)をマークした。平昌五輪では大会をPRする広報大使も務める。

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2018年1月25日11:14 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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