ジャンプ

「無心の飛躍」雪辱の時 高梨沙羅

直前合宿調子「90%」

  • 韓国に到着し、出迎えた報道陣に笑顔で意気込みを話す高梨沙羅=上甲鉄撮影
    韓国に到着し、出迎えた報道陣に笑顔で意気込みを話す高梨沙羅=上甲鉄撮影

 韓国の空の玄関口、仁川インチョン空港。6日正午過ぎ、到着ロビーに現れたスキージャンプの高梨沙羅(クラレ)は、日の丸を振って盛大に出迎えた100人以上の韓国人ボランティアに、目を丸くした。「こんなにたくさんの方がお出迎えしてくれるとは思わなかったので、すごくびっくりしました」。キリッとしていた表情が、ほころんだ瞬間だった。

 1月27、28日にスロベニア・リュブノで行われたワールドカップ(W杯)出場後、同国のプラニツァでの代表合宿に参加した。今季のW杯10試合では未勝利のまま迎える大一番に向け、合宿で突き詰めたのは「一連の流れ」と表現するジャンプ全体の完成度だった。

 スタートから、助走姿勢の組み方、踏み切りのタイミングと飛び出しの方向、空中でのスキー板の操作、着地で入れるテレマーク姿勢。修正ポイントは多く、考えながら飛ぶため、動きは常に後手後手だった。「今までずっと、いい時は無心で飛べていた」から、何も考えずに飛べる状態に仕上げることこそが、復調へのカギだと捉えていた。

 プラニツァのノーマルヒルは個人合宿を張ることのある勝手知ったるジャンプ台。自分を見つめるには最適の場所だった。そこで2日間、10本以上のジャンプ練習を積み、求める動きを体に染み込ませた。

 プラニツァでは、リュブノの2戦目を制したダニエラ・イラシュコ(オーストリア)やロシア、スロベニアのエースも飛んでいたが、鷲沢徹代表コーチは「飛距離では断トツ。ダニエラ選手より5メートルは飛んでいて、内容も良かった」と太鼓判を押した。高梨は「一連の流れは意識せずともスムーズにできるようになった」と言い、調子の目安も1か月前の「70%」から「90%に引き上げられたかな」。謙虚な21歳が、珍しく自信をにじませた。

 メダル以外でも、前回ソチ大会ではかなわなかったことをまず一つ実現したいと思っている。それは開会式に出ること。いてつく寒さが話題に上る平昌だが、「北海道民なので寒さには強いと思ってますし、マイナス十何度くらいなら対応できる。着込めるものは着て、気持ちで乗りきれるかな」。

 4位に終わったソチ大会では「五輪という独特の雰囲気にのみ込まれ、自分のジャンプを見失った」。だから、開会式で大会の空気を感じ、会場を自分のものにする、そんな思惑もあるのだろう。「あとは気持ちの問題。ここで勝つという気持ちを、しっかり持って臨みたい」

 雪辱を果たす、時は来た。

(増田剛士)

2018年2月8日09:45 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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