フィギュアスケート

【解説・女子フィギュア】加賀山由果の目…坂本花織の新境地・パントマイムに注目

  • 団体戦の女子フリーで演技する坂本=竹田津敦史撮影
    団体戦の女子フリーで演技する坂本=竹田津敦史撮影

 21、23日に行われるフィギュアスケート女子に出場する坂本花織。持ち前の身体能力の高さを生かしたジャンプに加え、今シーズンはパントマイムを随所に取り入れたプログラムで「表現者」としても新境地を開き、オリンピック出場権をつかみ取った。12日に団体戦のフリーを滑り、五輪の雰囲気には慣れたはず。生き生きとした演技を期待したい。

 団体戦では、冒頭の連続ジャンプで最近になく体勢を崩し、単発のジャンプになってしまった。演技後半に連続ジャンプを組み込んでカバーしたが、そうした技術面の立て直しで頭がいっぱいだったのかもしれない。演技まで、意識が行き届いていないように見えた。

 たとえば、広げた両腕のヒジから先をブラリと垂らして揺らす振り付け。ヒジから先以外の体の静止が不十分で、動きが流れた。止まるべきところはピタッと止まらないと、パントマイムらしさが出てこない。天真爛漫(らんまん)な17歳が、大舞台の緊張感と一生懸命に闘っていることが伝わってきた。

 フランス映画「アメリ」のテーマ曲に乗って滑る、今季のフリー演技プログラム。振り付けは、欧米のトップスケーターの間で人気の高いブノワ・リショー(フランス)が手掛けた。「日本人スケーターの振り付けを、ぜひしてみたい」と、彼は数年前からホープの紹介を私に求めてきていた。なかなか実現しなかったのだが、昨年の世界選手権後、中野園子コーチから「ブノワさんに坂本の振り付けを依頼したい」という声が上がった。中野コーチにも坂本本人にも「人と違うことをやってみたい」という気持ちがあったから、話がまとまった。

 「きれいに、美しく」といったプログラムを滑ってきた彼女にとって、フランス流のエスプリ(機知)を利かせたコミカルな振り付けは初体験。パントマイムの心得もなく、練習ではかなりの苦労があったと聞いている。けれども、結果として今回のプログラムは彼女に合っていたと思う。代表の座をつかんだ昨年12月の全日本選手権では、質の高いジャンプを決めるごとに、パントマイムもさえていく感じがあった。曲と振り付けの世界を、リンク上で彼女らしく表現できていた。難しい振り付けに挑戦したことで、才能が開花した印象だ。

 団体戦も、終盤は心と体がほぐれてきた感じの演技を見られた。個人戦では、魅力あふれる滑りを見せてくれるはず。それができる選手だということは、本人、コーチ、振付師のみならず、彼女のファンたちもよく知っているはずだ。(敬称略)

〈解説者プロフィル〉

加賀山由果(かがやま・ゆか)1959年4月4日、東京都出身。明治神宮外苑アイススケート場に所属する日本体育協会公認コーチ。国際大会出場選手から初心者まで指導し、幅広い人脈を持つ。フランスに住んだ経験と語学力を生かし、日本と欧州のフィギュア関係者の間を取り持つコーディネーターとしても一役買っている。

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2018年2月20日04:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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