フィギュアスケート

【五輪男子フリー解析】フリー2位の羽生が逃げ切れた理由

 平昌五輪のフィギュアスケート男子で、羽生結弦が五輪2連覇を達成した。17日に行われたフリーは2位ながら、2位以下との差をさらに広げての金メダルだった。銀メダルは、ショートプログラム(SP)で3位だった宇野昌磨。日本勢の「ワンツー・フィニッシュ」をデータで分析する。(読売新聞編集委員・三宅宏)

序盤の二つの4回転は満点評価

  • フィギュアスケート男子のメダリスト。左から宇野、羽生、フェルナンデス
    フィギュアスケート男子のメダリスト。左から宇野、羽生、フェルナンデス

 羽生は冒頭の4回転サルコーと続く4回転トウループで、満点の出来栄え点(3.00点)を獲得した。逃げ切りを図るSP首位の選手が、序盤に高得点を挙げたことは大きい。SPと同様に、「比較的易しい4回転を美しく跳ぶ作戦」がフリーでも奏功した。

 中盤、4回転トウループからの3連続ジャンプの予定が乱れて単独になったが、次のトリプルアクセル-2回転トウループの後半部分を、1回転ループー3回転サルコーに切り替えて3連続に変更、取りこぼしを最小限に抑えた。

 最後の3回転ルッツも乱れたが、転倒はしなかった。転んでいたら大幅減点は免れないが、ここも、-1.10点の出来栄え点にとどめた。

 2位の宇野と比較してみよう。

 ジャンプで稼いだ得点(羽生87.75点、宇野90.51点)も、技術点合計(羽生109.55点、宇野111.01点)も、宇野の方が上だった。

 しかし、主に表現力・芸術性をみるプログラム構成点では、羽生に一日の長がある。

羽生の96.62点に対して、宇野は92.72点。宇野の数字も高いのだが、ここで3.90点差がついた。さらに、宇野には、転倒による-1.00点の減点もあった。SPを終えた時点で7.51点あった2人の差は、10.95点にまで広がった。

フリー1位は4回転を5度決めたチェンだった

 とはいえ、宇野の粘りも見事だった。

 羽生と対照的に、冒頭の4回転ループで転倒するという最悪のスタートとなったのだが、その後、すぐに4回転フリップを決めて立ち直った。

 基礎点が1.1倍になる演技後半に集中した3度の連続ジャンプは、ひとつだけ出来栄え点がマイナス(-1.54点)になったものの、残り二つはプラス評価を得た。宇野はジャンプ合計点で、SP2位だったハビエル・フェルナンデス(スペイン)を大きく上回り(宇野90.51点、フェルナンデス79.77=宇野に-1.00点の転倒減点あり)、これがフェルナンデスを逆転する大きな要因となった。

 ところで、羽生がフリー2位だったのは、SP17位と大きく出遅れたネーサン・チェン(米)が4回転に6度挑戦、うち5度も決めて,驚異的な技術点をたたき出したからだ。フリーだけなら、羽生を8.91点も上回る堂々の1位だった。

 計8度のジャンプはすべて10点台で、ジャンプで稼いだ得点は106.68点。これは、3位フェルナンデスの技術点101.52点を超えている。

 SPの失敗からの復活劇は、ソチ五輪の浅田真央を思い起こさせたが、SPの得点が82.27点とあまりにも低く、表彰台には届かなかった。


2018年2月17日17:25 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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