フィギュアスケート

【解説・フィギュア女子SP】加賀山由果の目…宮原知子、好感度抜群のプログラムで実力発揮

  • 宮原のSP演技=竹田津敦史撮影
    宮原のSP演技=竹田津敦史撮影

 21日に行われた平昌オリンピックのフィギュア女子ショートプログラム(SP)は、とても見応えのある戦いだった。首位アリーナ・ザギトワと2位エフゲニア・メドベージェワのOAR(ロシアからの五輪選手)勢2人は、圧倒的な演技を見せた。3位ケイトリン・オズモンド(カナダ)もダイナミックに滑りきった。

 ただ、「最も好感の持てる演技」を挙げるなら、私は4位につけた宮原知子(関大)を選びたい。

 3度のジャンプをすべて加点対象となる演技後半に持ってくるロシア勢2人のプログラム構成は、ひたすらに点数を追い求めるどん欲な姿勢の表れと言える。これに対して、宮原のプログラムは冒頭に3回転ルッツ―3回転トウループの連続ジャンプを配し、後半に残る2度のジャンプを跳ぶ。点数では「3度とも後半」の構成に及ばないが、全体のバランスはいい。映画「SAYURI」の曲に乗せた、切なさや美しさを意識した身体表現も、見る人に伝わりやすいはずだ。

 自分に出来る限りの技術で、正確に滑ろう――。スケートに対する誠実な姿勢が、演技ににじみ出ていた。そんな宮原だから、10日前の団体戦で「ジャンプの回転不足」を指摘されるという苦境から、立て直すことができたのだろう。この日のジャンプは3度とも、技術点を引かれていない。

 団体戦後に「次こそは、と思ってジャンプを練習してきた」という。宮原は、厳しい浜田美栄コーチから「誰よりもよく練習する」と認められる教え子だ。それまでの練習で、技術的なノウハウを豊富に持ち合わせているのだろう。そうでなければ、こんなに短い期間では修正できなかったに違いない。

 もう一つ。優勝候補筆頭のメドベージェワが好演し、会場の雰囲気が彼女一色になった次の滑走順で登場しながら、動じることなく力を出し切ったのも宮原ならでは。芯の強さとひたむきな努力が、大舞台での75.94点という高得点に結びついた。

 23日も、本領発揮の正確な演技を見たい。長丁場のフリー演技では、上位3人にSPでは無かったミスが出る可能性はある。そうなれば、5位の坂本花織ともども、メダルに手が届く位置にいる。(敬称略)

解説者プロフィル

 加賀山由果(かがやま・ゆか)1959年4月4日、東京都出身。明治神宮外苑アイススケート場に所属する日本体育協会公認コーチ。国際大会出場選手から初心者まで指導し、幅広い人脈を持つ。フランスに住んだ経験と語学力を生かし、日本と欧州のフィギュア関係者の間を取り持つコーディネーターとしても一役買っている。

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2018年2月21日19:20 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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