フィギュアスケート

【解説・フィギュア女子】加賀山由果の目…ザギトワ、後半のジャンプと「成長」の印象で金メダル

  • 金メダルのザギトワ(右)と銀のメドベージェワ=竹田津敦史撮影
    金メダルのザギトワ(右)と銀のメドベージェワ=竹田津敦史撮影

 金メダルに輝いたザギトワのフリー演技は、銀メダルのエフゲニア・メドベージェワに完成度で一歩譲ったようにも映った。

 しかし、7度のジャンプをすべて基礎点が1.1倍になる後半に集め、前半にも跳んだメドベージェワとフリーを同点に持ち込んだ。団体戦とSPの演技で、芸術性や表現力が成長著しいことを証明し、審判員に「右肩上がりの選手」と印象づけていた影響もあるだろうか。SPのリードを守りきることに成功した。

 ともあれ、ドーピング問題で母国のスポーツ界が揺れる中、OAR(ロシアからの五輪選手)という位置づけで出場にこぎつけた彼女たちの気持ちの強さ、競技への情熱を再認識させられるような熱闘だった。拍手を送りたい。

未曾有のハイスコア合戦に思うこと

 今大会の女子フィギュアは、メダリストが3人とも230点台をたたき出すという、未曾有のハイスコア合戦になった。得点を、改めて振り返ってみる。

 金メダル ザギトワ=239.57点
 銀メダル メドベージェワ=238.26点
 銅メダル ケイトリン・オズモンド=231.02点

 4位宮原知子も222.38点を記録した。ソチオリンピックと比べれば、優勝したソトニコワの224.59点こそ下回るが、2位キム・ヨナの219.11点をしのぐ。

 4年前とは、採点の基準や傾向が違う。簡単に説明すると「悪かった要素を引いていくよりも、良かった要素を加えていこう」という方向になっている。だから、ソチと平昌を同列に並べて「宮原の得点はソチの銀メダル相当」といった言い方をするのは無理があるし、良くない比較だとも感じる。ただ、平昌五輪の高得点続出を端的に物語る数字には違いない。

 3回転の連続ジャンプを確実にこなす選手が多くなり、演技後半のジャンプは得点が伸びるというルールがフィギュア界に浸透して後半に何度も跳ぶ選手が増えたことなども背景にあると、指摘してもよさそうだ。

 現在の採点基準が続けば、トップ選手たちは、さらなる高得点を求め、トリプルアクセルや4回転ジャンプばかりを追求する方向に進むかもしれない。男子で「4回転時代」が過熱しているように、女子も「より高く跳んで、クルクル回った者が勝ち」という傾向が強まるようならば、私は決して歓迎しない。

 芸術性や美の表現といった側面もあってこそ、フィギュア。今大会を契機に、採点基準や傾向は見直された方がいいし、その方向で進むと思う。

解説者プロフィル

 加賀山由果(かがやま・ゆか)1959年4月4日、東京都出身。明治神宮外苑アイススケート場に所属する日本体育協会公認コーチ。国際大会出場選手から初心者まで指導し、幅広い人脈を持つ。フランスに住んだ経験と語学力を生かし、日本と欧州のフィギュア関係者の間を取り持つコーディネーターとしても一役買っている。

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2018年2月23日20:50 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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