特派員リポート

パラアルペン男子座位 意地見せられるか日本勢

  • アルペンスキー男子スーパー大回転(座位)で優勝したカート・オートウェー(中央)、2位のアンドルー・クーカ(左)、3位のフレデリック・フランソワ(11日、韓国・旌善アルペンセンターで)=武藤要撮影
    アルペンスキー男子スーパー大回転(座位)で優勝したカート・オートウェー(中央)、2位のアンドルー・クーカ(左)、3位のフレデリック・フランソワ(11日、韓国・旌善アルペンセンターで)=武藤要撮影

海外勢の躍進目立つ

 平昌パラリンピックのアルペンスキー男子座位で、海外勢が好調だ。10、11日に行われた滑降とスーパー大回転の2種目は、2010年バンクーバー大会と14年ソチ大会で日本勢が表彰台の3分の2を占めてきた「お家芸」だった。しかし、今大会は滑降で森井大輝(トヨタ自動車)が銀メダルを取っただけ。滑降はアンドルー・クーカ(米国)、スーパー大回転はカート・オートウェー(カナダ)が、いずれも自身初の金メダルを手にした。

 クーカは、得意の滑降で森井に快勝すると「背骨を(13歳で)折った日から味わってきた全ての苦しみや悩みが報われた」と感激。翌日のスーパー大回転でも銀メダルをつかんだ26歳は「2か所でミスをしたレースで、銀メダルを取れた意味は大きい」と、手応えを口にした。

 スーパー大回転を制した34歳のオートウェーは22歳の時に転落事故で脊髄を損傷、バンクーバー大会を見て競技を始めたという選手だ。2シーズン前のワールドカップ(W杯)滑降の年間王者だが、パラリンピックや世界選手権では表彰台に立ったことがなかった。進歩を証明した今回の優勝を「これが私の新たな到達点」と喜んだ。

まだ森井の銀のみ、残りは3種目

 この2人のほか、今大会の海外勢では今季W杯の総合王者、ジェスパー・ペダーセン(ノルウェー)やイエルン・カンプスフレール(オランダ)ら、10歳代の若手にも実力者がいる。実力者の層が厚く、残る3種目も誰が勝つか分からない激戦になりそうだ。

 アルペンスキーの座位で用いるチェアスキーでは、日本は、1998年長野大会と2006年トリノ大会で金メダルの大日方邦子(平昌大会日本選手団長)など数々の名選手を輩出して以来、この競技のトップを走ってきた。特に、長野大会以降、産学などで開発してきたことが功を奏した。そんな歴史があって、バンクーバー大会とソチ大会の男子座位では、森井、狩野亮(マルハン)、鈴木猛史(KYB)の通称「パラアルペン三銃士」が計10個のメダルを集める圧倒的な活躍を見せてきた。

 しかし、海外勢が強化に力を入れ、この4年間で勢力図が変わってきた。11日のスーパー大回転で3連覇を阻まれた狩野は、レース後に語った。「僕らが作ってきた滑りの上を今、海外勢が行っている。上体の安定感があり、僕らよりもターンで深い弧を描ける」。パラアルペン座位は、残り3種目で、三銃士はすべてに出場登録している。意地の巻き返しに期待したい。

(メディア局編集部 込山 駿)

2018年3月12日15:52 Copyright © The Yomiuri Shimbun