特派員リポート

村岡桃佳「金メダルを取るのは、今日しかない」

 平昌冬季パラリンピック第6日の14日、アルペンスキー女子大回転(座位)で、村岡桃佳(早大)が念願の金メダルを獲得した。21歳の金メダル獲得は、冬季パラリンピックでは日本最年少となる。滑降の銀、スーパー大回転とスーパー複合の銅に続き、自身4個目のメダルだ。ゴール後、囲んだ記者たちに対し、「金メダルを取るなら、今日しかないと思った」と語り、狙っての金メダルだったことを明らかにした。主なやり取りは以下の通り。

今の心境は、安堵感

  • フィニッシュ後、涙を流す村岡桃佳(14日、韓国・旌善=チョンソン=アルペンセンターで)
    フィニッシュ後、涙を流す村岡桃佳(14日、韓国・旌善=チョンソン=アルペンセンターで)

――ついに金メダルを取った気持ちを。

「たった今の心境としては、安堵感です。取った瞬間は、うれしさだったり、達成感だったり、いろんな感情が入り交じって、何とも言えない気持ちでした」

――レース直後、スタンドに手を振っていた。

「ゴールして、モニターをみて、『1』という数字が見えました。『やったぞ』という気持ちで、手を振りました」

――その後、目元を押さえる場面があった。

「ゴールの後、(日本代表の)チームメートの本堂(杏実)が駆け寄ってきてくれたんですけど、彼女が号泣していたんです。『なんで私より先に泣くんだ!』と思いながら、それを見た瞬間に『あ、本当に私とったんだ』といううれしさと、ちょっと(本堂からの)もらい泣きという面も……。なんで私がもらい泣きしているのか分からないんですけど」

――2本目のスタートは、どういう気持ちで臨んだのか。

「私、1本目で1番を取っている時って、2本目で逆転されることが多いんですよ。でも、今日だけは、そんなのは嫌だと。(2位と)1秒4の差がついていましたけど、ひとつミスをしたらすぐに抜かれるタイムです。だから、2本目も1本目と同じく、自分の滑り方と乗り方を意識してスタートしました」

落ち着いている自分がいた

――これまでは、タイムを2本そろえることが課題と言っていた。それができた要因は。

「今までは、体の使い方を意識できていなかったり、ライン取りを意識しすぎてしまったりと、一点のみに集中してしまって、タイムにつながらなかったんです。今回のスタート前は、ものすごく緊張していたのに、落ち着いている自分がいました。滑っている時も、アドレナリンが出ているんだけど、『ここはこうだ』とか『ここはちゃんと気をつけなくてはいけない』と、どこか第三

者的に冷静な分析ができていました。それが2本ともできたのは、初めてだと思います」

――なぜ、この大事なレースでできたのだろうか。

「私がまだ取っていない金メダルを取るなら、今日しかないと思っていました」

――21歳の金メダル獲得は、冬季パラリンピックでは日本最年少だ。

「日本選手団の旗手もさせていただきました。これも最年少みたいですね。結果を残すのは、自分の力だけではできなかったことです。たくさんの方々に支えてもらってできたことなので、周りの方々に感謝したいと思います」

――荒れた雪面で、しっかりターンを滑り切った。

「1本目を私が滑る時は、そんなに荒れていなくて。まだバーンも硬めで、いい状況でした。2本目は、先に滑った選手の滑りを見ていると、ちょっとコース状況が荒れつつあって、しんどい状況かもしれないなと思いました。けれども、無線で上がってきた情報では、そんなに荒れてないと。2本目は、体の使い方を意識しようと思ってスタートしました。1ターン目で『やばい、体が硬い、体が動かない』と思ったんですが、2ターン目から徐々に修正していけたことで、2本目も記録を伸ばしていけました。それが、2本目で逆転されなかった要因かと思います」

――それは、今大会でメダルをとれていた経験が大きいですか。

「うーん、大きいですかね。どうしても金メダルが欲しくて、そのためには、フルで攻めていって『勝つか、転ぶか、そのどっちか』という滑りをしようと思っていました」

まだ限界は超えていない。上がある

――自分の限界を超えた実感はあるか。

「まだです、まだ限界は超えていません。上にあります」

――森井大輝選手の滑りを見て、ターンの技術を磨いてきた。

「私の場合は、いろいろな選手、いいお手本が、周りにたくさんいる。間近で滑りを見てきて習得できたことが多いかなと思います。初めの頃は、カービングターンができなかった時に『どうやって始めたらいいですかね』と聞いて、教えてもらっていました。でも徐々に、『見て学ぶ』ことが増えてきました」

――4種目目で金。大会で成長したところを自己分析すると。

「レースが続く中で、結構しんどい状況ではあったんですが、自分の中のギアを徐々に上げられました。きのうも『明日しかない、(金メダルを)取れるなら大回転しかない』という状況で、調子のピークを持って来られました」

――大会前、これほど(4個)メダルが取れると思っていたか。

「思っていなかったです」

【人物・プロフィル】村岡桃佳

2018年3月14日20:29 Copyright © The Yomiuri Shimbun