平昌まで100日…東京へもカウントダウン 

 2020年東京パラリンピックの開幕まで、29日であと1000日となる。

 22競技が行われる20会場ではバリアフリー化に向けた設計や改修などが本格化し、会場外でもバリアフリーマップの作成といった活動が展開されている。大会本番やその後を見据え、「誰もが暮らしやすい社会に」という機運が急速に広まっている。

  • 武蔵野の森総合スポーツプラザの車いすスペースで競技フロアを見渡す三宅克己さん(東京都調布市で)
    武蔵野の森総合スポーツプラザの車いすスペースで競技フロアを見渡す三宅克己さん(東京都調布市で)

「ここを新基準に」

 「この会場なら、選手たちのモチベーションは最高に上がる」。車いすバスケットボールの元日本代表、三宅克己さん(46)は、真新しいフロアでボールを追う選手たちをうらやましそうに眺めた。

 東京都が整備する新設会場第1号として25日に開業した「武蔵野の森総合スポーツプラザ」(東京都調布市)は、車いすバスケの会場になる。三宅さんは車いすがすれ違える通路の広さを確かめ、車いす用の座席や専用トイレの多さに感心した。出場したアトランタ、シドニー、アテネの3大会のどの施設にも勝るとも劣らない水準で「ここが競技施設の新たな基準になったら素晴らしい」と話した。

 パラ会場は都内など20会場あり、うち10会場は仮設も含めて新設される。大会組織委員会が定める「客席の1%以上を車いす対応に」「エレベーターのドア幅は95センチ以上に」などの指針を踏まえた設計となる。日本武道館などの既存施設も指針に近づける改修を予定している。

障害者とマップ作り

 競技会場外での取り組みも進む。経団連や企業などで作る「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」は16年から、会場周辺のバリアフリー状況のデータ収集を始めた。自治体職員や視覚障害者らと街を歩いて集めた道路の幅や傾斜、段差、スロープの有無といったデータは、バリアフリーマップ作りなどに生かす。

 データは、将来的に誰でも利用可能にし、スマートフォンなどで気軽に閲覧できるようにすることを想定している。各会場やターミナル駅の周辺で行った調査は、今年度中に約20エリアに達する予定で、担当者は「調査場所をさらに増やしていきたい」と意気込む。

ツアー企画も

 国内外の障害者がより気軽に東京観光を楽しめるようにと、車いす利用者向け観光ツアーを企画する旅行会社も出てきた。「トリップデザイナー」(荒川区)のツアーには、重度訪問介護従業者の資格を持った通訳案内士が同行する。コースは電動車いすに乗るカナダ出身の男性が監修した。坂元壮社長(34)は「東京は障害者に優しいと思われるようにするのが最終的な夢だ」と語る。

平昌あと100日、チケット伸びず

 29日は韓国・平昌パラリンピックの100日前でもある。平昌大会のチケット販売数は全体の4・5%にとどまっており、東京大会の関係者にとってもパラリンピックのチケット問題は重大な課題の一つだ。

 平昌大会のチケットは1万~14万ウォン(約1000~1万4000円)で、国内外で約22万枚が販売。平昌大会組織委員会の関係者によると、車いすカーリング、パラアイスホッケーなどは人気があるが、スキーなどの雪上種目が不振で、実際に売れたのは11月16日現在で約1万枚という。

 東京大会では立候補段階で、チケット総数230万枚、開閉会式が3000~1万5000円、主な競技は1000~1800円に設定されている。

 東京大会組織委の鈴木秀紀チケッティング部長は「パラスポーツにも勝負の面白さなど、見所が多くあることを知ってもらえるようにしていきたい」と話している。

2017年11月29日06:00 Copyright © The Yomiuri Shimbun