怪しい動きでクマ撃退、8本脚ロボ開発中

  • 開発中のロボットを手に「クマも恐れをなすはず」とほくそ笑む斎藤准教授
    開発中のロボットを手に「クマも恐れをなすはず」とほくそ笑む斎藤准教授

 秋田県内では今年も春先からクマの目撃が相次ぎ、人身被害も4件(13日午後6時現在)発生している。県民を脅かすクマに科学技術で対抗しようと、秋田県立大の斎藤敬准教授(医療工学)の研究グループが、8本脚でガシャガシャと迫る動物型のロボットの開発に取り組んでいる。深刻な人口減で、クマを追い払う狩猟者の担い手が不足する中、自然界ではお目にかかれない“怪しい追撃者”がクマ対策の切り札となるか注目される。

 「怪しい動きに、クマは恐れをなすはずだ」――。斎藤准教授が開発を急いでいるのは「動物型ロボットかかし」だ。現在は試作段階で動きを確認。全長約60センチ、高さ約25センチの本体から伸びた8本の脚で、ガシャガシャガシャガシャ……と耳障りな金属音を鳴らして動き回る。折りたたみ式で最長約2メートルに達するステンレス製アームを伸び縮みさせて威嚇する“必殺技”を繰り出し、クマを追い払うという仕組みだ。

 斎藤准教授は、義手や義足の機能性を高めるための人工神経の研究に打ち込んできた。これまで培った技術を応用したのが、動物型ロボットかかし。多脚歩行型のロボットに、高齢者の歩行などを補助するロボットアームを組み合わせた構造で、今後は大型化を図りクマ対策に向けた“実戦配備”を目指す。

 県内では4月、北秋田市の山林でクマの生態調査などにあたっていた猟友会員がクマに頭部をかまれるなどして負傷。5月にも東成瀬村の山林で、クマの警戒にあたっていた猟友会員がクマに襲われ、顔にけがを負うなど人身被害が相次いでいる。

 環境省によると、過疎化などの影響で治山管理や狩猟の担い手が減って、人とクマの領域の境界があいまいになり、クマを山へと追い返す力が弱っているのが課題という。

 斎藤准教授は「ロボットの見慣れない姿に、クマは『謎の生物』として恐れるはずだ。人が危険な目に遭うことなく、獣害を防ぐ手段としたい」と狙いを説明する。

 日本クマネットワーク代表を務める石川県立大の大井徹教授(動物生態学)は「動物は普段見ない物を警戒するが、慣れが生じるので、ロボットも進化、変化させていく必要がある」と課題を指摘する。

2018年6月14日11:46 Copyright © The Yomiuri Shimbun