江戸時代の卵料理再現

料理サイトで話題の「玉子百珍」

  • 江戸時代の料理本「万宝料理秘密箱」の「玉子百珍」
    江戸時代の料理本「万宝料理秘密箱」の「玉子百珍」

 江戸時代えどじだい卵料理たまごりょうり現代風げんだいふうにアレンジしたレシピが、料理サイト「クックパッド」に掲載けいさいされ、話題になっています。

 レシピ公開を仕掛しかけた国文学研究資料館こくぶんがくけんきゅうしりょうかん(東京都立川市)の古典籍共同研究事業こてんせききょうどうけんきゅうじぎょうセンター特任教授とくにんきょうじゅ山本和明やまもとかずあきさんの研究室をたずねました。

 卵料理といえば、オムライス、だしき卵、目玉焼きなどが思いかびますね。でも、なんと、今から200年以上いじょう前に刊行かんこうされた料理本「万宝料理秘密箱まんぼうりょうりひみつばこ」の「玉子たまご百珍ひゃくちん」のかんには、103種類しゅるいものレシピが記されているのです。本は、器土堂かわらけどうという京都の料理人のレシピを弟子でしたちがまとめたものです。

 この料理本では、必要ひつよう材料ざいりょうや料理方法ほうほうが記されています。しかし、分量ぶんりょうや細かな手順てじゅんはぶかれており、あとは作り手にまかされています。一方で、どんな食器しょっきるとよいかが説明せつめいされています。

 「当時の風流な人々に人気の読み物だったようです」と山本さん。こうした読み物が人気となる背景はいけいには、食を楽しむ江戸の文化レベルの高さがあったと考えられています。

 国文学研究資料館では、奈良なら時代から江戸時代の書物30万点をホームページ(HP)上で公開し、国内外の多くの研究者に役立ててもらおうというプロジェクトに取り組んでいます。「玉子百珍」の公開もその一環いっかんです。作業はまず、くずし字で書かれた全調理法を活字化。そのうち20種類を現代語にやくし、5品については、実際じっさいに作れるよう、料理の分かる人にくわしい作り方を考えてもらい、国文研のHP上で公開しました。

 山本さんは「見てもらうためには、当時のレシピを忠実ちゅうじつ再現さいげんすることより、実際じっさいに作ってもらうことが大切だと思った」と話します。そのために、「くず」は「かたくり粉」とするなど、より手に入れやすい食材しょくざいにかえたり、「容器ようきごと水でやす」を「冷蔵庫れいぞうこで2時間冷やす」と、現代の道具を用いる手順てじゅんにかえるなど工夫くふうしました。

 しかし、当初の反応はんのうは今一つでした。どうしたら多くの人に見てもらえるのか――。そこで、クックパッドに掲載けいさいしたところ、「あまりの反響はんきょうにびっくり」(山本さん)。「今では多くの人から、実際に作ってみたという報告ほうこくせられています」と言います。

 江戸時代の書籍しょせきで活字化されているものは、実はまだごくわずかなのだそう。「知名度がひくくても、おもしろいものはまだある。玉子百珍をきっかけに、それらの魅力みりょくをもっともっと伝えたい」と山本さんは話していました。

 

クックパッドに掲載された「玉子百珍」の料理を、取材した3人が作りました。

 たまごなます 千切りにした薄焼うすやき卵とゆで卵(白身は千切り、黄身はつぶす)をぜ、り酒(酒や梅干うめぼしなどから作った調味料)、大根おろしをくわえる。わさびを少量入れて風味をアップ。あっさり卵サラダ風。江戸の人々ひとびとは、こんなにおいしいものを食べていたのかとびっくり。(中村記者)

 冷卵ひやしたまご羊羹ようかん 寒天かんてんを水につけてふやかす。生卵をき、黒砂糖くろざとうと酒を入れて混ぜる。寒天を水で溶かし、この中に卵液を少しずつ入れて混ぜ合わせる。最後に、水溶きかたくり粉をさっと混ぜて、かたに流し込み、冷やせば完成かんせい想像そうぞうしていたよりも作りやすくて、おいしかった。(蟹田記者)

 花卵はなたまご ゆで卵を作り、カラをむいてしばらく湯につけ、取り出して、クッキングシートを巻く。卵の側面そくめん5、6か所にはしを当ててへこませ、ゴムで固定こてい。よくました後、食紅しょくべにで色けし、横半分に切る。箸で卵をはさむのが意外いがいむずかしい。きれいな断面だんめんに思わず歓声かんせいが。(富田記者)
 (高3・中村知寧なかむらともね、中2・蟹田光かにたひかる、小6・富田涼真とみたりょうま記者)

2017年03月20日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun