先入観なく名画と向き合う

大エルミタージュ美術館展

 

  • 「まずは先入観なしに絵を見て」と話す千足さん
    「まずは先入観なしに絵を見て」と話す千足さん

 帝政ていせいロシアの歴代皇帝れきだいこうていらが集めた名画を紹介しょうかいする展覧会てんらんかいが、東京・六本木ろっぽんぎもりアーツセンターギャラリーで6月18日まで開催かいさいされています。千足伸行せんぞくのぶゆき成城大学名誉教授せいじょうだいがくめいよきょうじゅ案内あんないで、本格的ほんかくてきな西洋の美の世界を味わいました。

 「大エルミタージュ美術館展びじゅつかんてん オールドマスター 西洋絵画の巨匠きょしょうたち」の作品がおさめられているエルミタージュ美術館は、ロシアの古都ことサンクトペテルブルクにあります。フランスのルーブル美術館、アメリカのメトロポリタン美術館とならび、世界3大美術館の一つに数えられています。

 その歴史れきしは18世紀せいきにさかのぼります。1764年、女帝じょていエカテリーナ2世がベルリンの実業家から317点の絵画コレクションを取得しゅとくしたことが始まりといわれ、現在げんざいは絵画だけでおよそ1万7000点も所蔵しょぞうしているそうです。

肖像画や宗教画など85点

 今回は、その中からえらかれた85点が展示てんじされています。会場に入ると、美術館の創設者そうせつしゃともいえるエカテリーナ2世の肖像画しょうぞうがが。ロマノフ家の紋章もんしょう双頭そうとうわし」をあしらった衣装いしょう戴冠たいかん式にのぞむ女帝の姿すがたは、たてやく220センチ、横約150センチという大きさもあって、迫力満点はくりょくまんてん千足せんぞくさんは「見る人が彼女かのじょのことを尊敬そんけいするように、下から見上げるような角度でえがかれています」と教えてくれました。

  • フランシスコ・デ・スルバラン「聖母マリアの少女時代」1660年頃 (c)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017‐18
    フランシスコ・デ・スルバラン「聖母マリアの少女時代」1660年頃 (c)The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017‐18

 17世紀に活躍かつやくしたスペインの画家スルバランの「聖母せいぼマリアの少女時代」は、やがてキリストの母となる少女マリアが、両手を合わせて天をあおぐ様子を描いたものです。きよらかであいらしい表情ひょうじょうには、見る者がまれるような魅力みりょくがあります。ほかにも多くの宗教画しゅうきょうがが展示されていますが、宗教画が描かれた背景はいけいについて、千足さんは「文字が読めず、聖書せいしょ内容ないようが分からない人に向け、信仰しんこうつたえるために描かれた」と説明します。

 世界的な名作ぞろいですが、小中学生には少し取っつきにくい気も……。やはり、絵についての知識ちしき豊富ほうふでないと十分に鑑賞かんしょうできないのでしょうか。千足さんに、絵の見方についてたずねてみました。千足さんは、「まず、先入観せんにゅうかんを持たずに、作品自体をじっくり見ることが大切です。それだけで、(作品鑑賞の)目的は半分達成たっせいされる。それから、作品の背景を知って、見直せばいいんです」と笑顔えがおで話してくれました。

 私たちが見たのは、エルミタージュ美術館の膨大ぼうだいなコレクションのほんの一部。実際じっさいのエルミタージュは、「歩くだけでつかれる美術館」として知られているくらい広いそうです。それなのに、「エルミタージュ」とは、「かくれ家」という意味だと聞き、びっくり。ロシアの皇帝こうていたちも、世間せけんの人たちのおどろく顔を想像していたのかなと思いました。(高1・マッキン愛奈、中3・若尾美紀、斉田歩、中2・伊東志穂菜、小6・大森陸記者、撮影=山本高裕)