深海の謎に迫る最新研究

発光する生物 地震のメカニズム解明

  • 「しんかい6500」のリアルな模型(左)
    「しんかい6500」のリアルな模型(左)

 今もまだ多くのなぞつつまれている「深海しんかい」について、最新さいしん研究けんきゅう解明かいめいされたことを紹介しょうかいする特別展とくべつてん「深海2017 ~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」が、東京・上野の国立科学博物館こくりつかがくはくぶつかんで10月1日まで開かれています。深海の謎解きに挑戦ちょうせんしてきました。

 「深海しんかいは、本来なら人間がんではいけない場所です」。のっけからこう言われておどろきました。展示てんじ案内あんないをしてくださった、海洋研究開発機構かいようけんきゅうかいはつきこう神奈川県かながわけん)の藤倉克則ふじくらかつのりさん(52)の言葉です。藤倉さんは、深海を生物学・地学といった科学の面からき明かそうとするこの特別展とくべつてん監修者かんしゅうしゃです。展示には、深海の水圧すいあつでつぶれた試験用装置しけんようそうち金属きんぞくバットがふくまれており、はじめの言葉が納得なっとくできました。

 そもそも深海とは何か、というところから教わりました。海洋生物学では、深海とは、太陽の光がとどきにくくなり、植物が光合成こうごうせいをできなくなる水深200メートルより深い場所を指します。地球表面のやくわりが海面というのは知られていますが、その水深はなんと平均へいきんで約3800メートルもあるのです。世界中の海のほとんどは深海にあたるそうです。

 深海にすんでいる生物の9割が発光する力を持っています。化学反応かがくはんのうで自ら光るものと、光る微生物びせいぶつを体内にすまわせ、それを利用りようして光るものの2種類しゅるいがあります。光る理由はてきからげるためや、獲物えものをつかまえるためなど様々さまざま。ほかにも、敵におそわれたとき光を出し、周囲しゅういに知らせることで、その敵よりさらに大きな敵をせ、その敵を食べてもらおうとするねらいもあるそうです。

  • 藤倉さんから深海の謎と魅力について説明を受ける。上の方に見えるのは、ダイオウイカの実物大模型
    藤倉さんから深海の謎と魅力について説明を受ける。上の方に見えるのは、ダイオウイカの実物大模型

 会場には多くの深海生物の標本ひょうほんが展示され、CG(コンピューターグラフィックス)映像えいぞうが流されています。どの深海生物も興味きょうみ深いのですが、その中でも緑色の大きな目をした「デメニギス」が印象的いんしょうてきでした。普段ふだんはエサをさがすため、緑色の目は上を向いています。しかし、獲物が近づいた時だけ、目を前にして、獲物をつかまえます。その場面をCGで見たときは、思わず声をあげてしまいました。

 豊かな生態系を持つと同時に、深海には未来みらいの私たちの生活をよりよくするかぎかくされています。「深海を研究し、それを知ることはとても重要じゅうよう」という藤倉さん。深海の研究の中には、地震じしんのメカニズムの解明かいめいにつながるものも。藤倉さんの所属しょぞくする同機構では、東日本大震災ひがしにほんだいしんさい(東北地方太平洋おき地震)の後、有人潜水調査船せんすいちょうさせん「しんかい6500」で、震源地しんげんち近くの海底かいていを調査しました。展示では、そのときに確認かくにんされた海底の1・2メートル程度ていど亀裂きれつなど、調査の様子が紹介しょうかいされています。

 また、深海は資源しげん宝庫ほうこでもあります。海底を調査することで、石油や石炭にくわえ、新しいエネルギー資源や鉱物こうぶつ資源を発見してきたことが展示からも分かります。藤倉さんは「環境保護かんきょうほごと開発両方のバランスが大切」と話していました。(高2・青柳(あおやぎ)孝信(たかのぶ)、中3・山口(やまぐち)万由子(まゆこ)、中1・富田(とみた)涼真(りょうま)(やなぎ)()()()、撮影=岩佐(いわさ)(じょう)