視覚障害者の支え 育てる

盲導犬訓練施設

  • 障害物をよけて、人と盲導犬が通れる広さのルートを選んでくれる
    障害物をよけて、人と盲導犬が通れる広さのルートを選んでくれる
  • 駅のホームなど、絶対に下りられないと判断した時は、前に立ちはだかるよう訓練されている
    駅のホームなど、絶対に下りられないと判断した時は、前に立ちはだかるよう訓練されている

 盲導犬もうどうけんの育成・訓練くんれんや訓練養成ようせい啓発活動けいはつかつどうなどを通じて、視覚障害しかくしょうがいのある人たちをささえてきた日本盲導犬協会きょうかいが今年、設立せつりつ50周年しゅうねんむかえます。同協会の中で唯一ゆいいつ、盲導犬の出産しゅっさんから引退いんたい後までをささえる訓練施設しせつ「盲導犬の里 富士ふじハーネス」(静岡県富士宮しずおかけんふじのみや市)をたずね、盲導犬の一生やその仕事について取材しゅざいしました。

 富士ハーネスは「盲導犬の一生を見守る」をコンセプトに、2006年に開設かいせつされました。盲導犬は全国でやく950頭(2017年3月末現在)が活躍かつやくしていますが、ここでは盲導犬の訓練を行うほか、母犬や生後2か月までの子犬、訓練犬、引退犬、広報こうほう活動をになう盲導犬PR犬がらしています。ここで毎年110頭ほどの盲導犬の候補こうほとなる子犬が生まれており、うち4わり将来しょうらい、盲導犬として活動します。

 今回は特別とくべつに生後1か月ほどの子犬をさわらせてもらいました。とても人懐ひとなつっこく、足元に近寄ちかよってきます。「生後2か月になるとパピーウォーカーとばれるボランティアにあずけられ、愛情あいじょうたっぷりに育てられます」と、案内あんないしてくれた同協会の太田諒美おおたまさみさんが教えてくれました。パピーウォーカーの家で1さいまで育ち、訓練施設くんれんしせつに入所後、盲導犬としての訓練が始まります。

 次に見学したのは、10歳を目安に盲導犬を引退した犬が暮らすエリアです。多くの引退犬はボランティアの家庭で過ごします。引きわたしがスムーズにできるように、健康面けんこうめんで悪いところがあれば治療ちりょうするなどして体調を整えています。部屋にはソファやテレビが()かれていて、家庭のような雰囲気ふんいき。2頭の犬はのんびりとごしていました。

 この施設では、訓練のほか、見学者らに盲導犬の仕事をつたえる活動もしています。盲導犬の主な仕事内容ないようは三つ。外出時に「角を教える」「段差だんさを教える」「障害物をよける」というものです。

 私たちも、アイマスクをし、実際じっさいに盲導犬と歩行体験たいけんをさせてもらいました。一緒いっしょに歩いたのは5歳のオス犬で盲導犬PR犬のオーパスです。盲導犬にはなりませんでしたが、愛くるしい表情が特徴とくちょうで、広報活動こうほうかつどうつとめています。

 何も見えないので、初めは歩くのが不安でしたが、オーパスは曲がるべきところでは角に入って一度止まり、障害物が置かれたところでは、障害物をけて進んでくれました。想像そうぞう以上いじょうにスムーズに歩くことができ、感動しました。

 視覚に障害のある人は、白杖はくじょうを使うことも多いですが、足元を確認かくにんするのには役立っても、車のサイドミラーなど高さのある障害物にぶつかるおそれがあります。その点、盲導犬は高さのある障害物も避けてくれます。その能力におどろきました。

  • 盲導犬の納骨堂。大きい丸がユーザーで小さい丸が盲導犬を象徴。天国でもつながっていることを表している
    盲導犬の納骨堂。大きい丸がユーザーで小さい丸が盲導犬を象徴。天国でもつながっていることを表している

 最後に、太田さんは敷地内しきちないにある盲導犬の納骨堂のうこつどうへ案内してくれました。犬たちの誕生たんじょうから死までを見守る場所で、人間と盲導犬の深いきずなに思いをはせました。(ジュニアプレス取材団)

【取材後記】パートナー実感 なでちゃダメ

◆高2・松原彩記者

 無償で貸し出される盲導犬。その数は不足しています。訓練や育成には、多くの手間がかかり、寄付やボランティアの支えが不可欠です。協会の活動を知ってもらうことが大切だと思いました。

◆高1・筒井菜々歩記者

 盲導犬が障害物を上手によけてくれることに、とても驚きました。また、盲導犬とのふれあいから、温かみや安心感を感じました。盲導犬は視覚障害者に寄り添うパートナーなのだと実感しました。

◆中2・伊東志穂菜記者

 私たちが施設で出会ったのは、盲導犬の候補となる子犬たち。そして役目を終えた引退犬です。子犬に待っている使命、引退犬が越えてきた苦労を思うと、胸がじんとしました。

◆中1・河野菜緒記者

 盲導犬は見た目はとても愛らしいですが、ペットとは違い、大切な役目があります。思わずなでたくなりますが、街で見かけても、触らず、話しかけず、目を合わせず、食べ物を与えてはいけないということを学びました。

(ジュニアプレス取材団)