青春 舞い込んだ(1)

中京大付属中京高(愛知県) チアリーディング部

チアストーリーは突然に。

 8月19日、東京・渋谷の東京体育館。青いマットの中心できれいな円陣を組んだ16人が、いつものコールで気合を入れた。

 「思いっきり楽しもう! 皆を感じて一体美! スピリッツ We are No.1!!」

 所定のポジションに散っていく仲間たち。スタンドでその様子を見守っていた私は、サポーターを巻いた右ひざの上で、拳を力いっぱい握りしめた。

 いよいよ始まる。私と仲間たち、中京大付属中京高校チアリーディング部「9代目スピリッツ」の最後の全国が――。

 みんな、絶対、絶対、最高の演技にしようね! この2年半の思いを全部ぶつけよう!!

振り向いた先に

 私とチアとの出会い。それは入学早々の放課後のことだった。

 「ねぇ、サエちゃん…、だよね? ちょっといいかな」

 学校からの帰り道で突然、誰かに呼び止められた。振り向くと、同じ制服を着たかわいい女の子がニコニコして立っている。それだけでも驚きだけど、彼女が自己紹介もそこそこに放った言葉に、私は目を丸くした。

 「いきなりだけど、一緒にチア部に入らない? 背が高いから絶対活躍できるよ」

 えっ、チ、チア部? 中3の秋、オープンキャンパスで見たことがある。跳んだりはねたり、3段ピラミッドを作ったり。アクロバチックでとにかくキラキラしてたあのチア部? 確かに私は身長が176cmあって、中学時代はバスケ部だったけど……いや、でも、私は高校では勉強一筋って決めてて、部活をやるつもりはなくて……。

 ていうか、あなた誰?

 そんなふうにぐるぐる脳みそをフル回転させた私。とっさに出した答えはこうだった。

 「ありがとう……。でも、ごめん、いきなり言われても、入部するか決められない」

心は決まってた

 私をチア部に誘ったその子は同じ1年生のミチ。聞けば、小学校の頃からチアリーディングをやっていて、一緒にチームを強くできそうな仲間を探しているのだという。

 私、もしかしてチアに向いてる? 告白された人の心情にちょっと似ているかもしれない。ミチの言葉で、私はだんだんチア部のことが気になってきた。そして、そんな心を見透かしているかのように、ミチはその後も私の教室に勧誘に訪れた。

 「サエちゃん。今日、チア部の見学があるよ」

 「う…うん」

 内心のドキドキを隠しつつ、私はチア部の練習を見学した。入部を決めたのは3回目の見学の後だったけど、振り返ると、最初に部活見学に行った時から、私はチアのとりこになっていたと思う。

 だって、やっぱすごい。

 みんなバク転なんてできて当たり前だし、仲間を何mも放り投げてキャッチするような大技もある。しかも、私がこれをできるようになるかもしれないなんて! 勉強? 大丈夫。頑張って両立しますとも!!

 かくして、ちょっとほろ苦く、そして、超エキサイティングな私のチアリーディング生活が幕を開けた。

 (高校生の登場人物はすべて仮名です)

チアリーディングとは?

 スポーツの試合で選手を応援したり、観客を盛り上げたりするチアリーディングから誕生したスポーツ。

 12m四方のマットの上で、ジャンプ、タンブリング、組み体操技術であるピラミッドなどの技を繰り出し、笑顔などの表現力や構成の難易度、技の美しさを競う。