青春 舞い込んだ(2)

中京大付属中京高(愛知県) チアリーディング部

こんな話です

 華やかでアクロバチックなパフォーマンスに憧れ、中京大付属中京高校チアリーディング部「スピリッツ」に入ったサエ。でも、いざ練習を始めてみると、チアは想像以上にハードで、やりがいのあるスポーツだった。

▽過去の連載

青春 舞い込んだ(1)

支え役がこんなに怖いなんて。

 はじける笑顔、キレッキレのダンス、そしてかわいいミニスカのユニホーム……。チアリーディングと聞いて、華やかなイメージを持つ人は多いだろう。

 私も最初はそうだった。でも、入部早々、悟った。チアは己の心と体の強さを極限まで試されるシビアな競技だってことを。

ズレ

 基礎的な体作りを終えた1年目の夏、私はスタンツ練習への参加を許された。

 スタンツとは、簡単に言えば、組み体操みたいな演技。仲間を高々と投げたり、持ち上げたりする競技チア最大の見せ場だ。

 身長176cmの私が担当するのは、トップ(上の選手)を持ち上げるベース(下の選手)の要「スポット」だ。

 おっ、いきなりの大役? というワケではなくて、スポットにはある程度の体格が必要で、初心者の私が入ったBチームには、私以外、大きなメンバーがいなかっただけなのだけど。 

 最初は、それは怖かった。もし、トップの子を支えきれず床に落としたら……。チアは常にけがと隣り合わせ。腕力には自信があったけど、ベースに入った瞬間、自分でもへっぴり腰になっているのがわかった。

 特に苦戦したのは、4人でやる「フル」という技。ベースの3人がトップの選手を360度クルッと回転させながら、持ち上げる大技なんだけど、これがなっかなか決まらない。

 「1、2、さーん、4!」

 技を組むときのかけ声はスポットである私の役目。最後の「4」で、トップを務める3年の先輩を一気に持ち上げるんだけど……おっとっと。回転させながら持ち上げるってすごく難しくて、私が原因で何度も何度も失敗した。

 「サエ、アップのタイミングが遅れてる」

 先輩たちも親身になっていろいろアドバイスをくれる。でも、頭の中ではわかっているはずなのに、どうしても他の先輩たちとの呼吸は合わなかった。わからない。何がいけないんだろう。

自信

 何かをつかみかけたのは、フルの練習を始めてから1か月近くがたった頃。あまりに安定感がないので、トップ抜きで動きの練習を繰り返していた私に、先輩が声をかけてくれた。

 「今のサエは自分のことにいっぱいいっぱいになってる。身長もあるんだから、自分に自信を持って。安心感のあるスポッターには自信が必要だよ」

 ハッとした。

 一歩間違えれば大事故につながるスタンツは、トップとベースの絶対的な信頼関係で成り立っている。

 トップは何があってもベースが支えてくれると信じているからこそ、安心して空中を舞い、美しいポーズを決められる。そして、ベースは自分の肉体を信じ、トップを支えるしかない。そう、自分を信じるしかない。

 そこから私は変わった。家に帰ってもお風呂でイメトレをし、寝る前にはストレッチにスクワットに腹筋、それから3点倒立……って、挙げたら切りがないぐらいの基礎練習。信じられる強い体と強いメンタルを作り上げたいと思った。

 あれだけ苦戦したフルが完璧に仕上がったのは、冬の大会を目前に控えた12月。みんなに常に安心感を与える「大黒柱」に、私はなる。その頃には覚悟が決まった。

 (高校生の登場人物はすべて仮名です)