Action!(4)

米子高専(鳥取県) 放送部

こんな話です

 映画コンクール「高校生のためのeiga worldcup」で2連覇を目指す米子高専放送部。部長で監督の河本(かわもと)らは、最新作「夢見る乙女のcontinue」をひっさげ、最終結果の発表が行われる東京に向かった。

▽過去の連載

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夢見た連覇のコンクール

 12月10日、3年の河本率いる米子高専放送部は運命の日を迎えた。「eiga worldcup」の表彰式だ。45分以内で作る「自由部門」では、2年連続最優秀作品賞を狙う。「夢見る乙女のcontinue」は1次審査を通過したが、果たしてどこまでいけるのか――。

 会場の東大・本郷(ほんごう)キャンパスのホールに入ると、自信家の編集マン・島崎もさすがに緊張を隠せない面持ちに。なにせカッと照らされたライトの下には、審査員のプロの映画監督、プロデューサー、脚本家がずらりと並んでいたのだから。

緊張と衝撃

 eiga worldcupは高校映画界の祭典。その表彰式はアカデミー賞の授賞式みたいに進む。

 午前は地元をテーマにした「地域部門」の表彰から。賞が発表される度にあちこちで歓喜の輪が出来る。と、「優秀作品賞」で河本ら部員6人にこの日最初の衝撃が走った。

 なんと2年の平井と植木、斎藤らが撮った作品がその一つに選ばれたのだ。

 「レンズノムコウ~ボクらの残したいもの~」と題した作品は、部員を増やそうと奮闘する写真部員を描いた。中国地方最高峰の大山(だいせん)にロケに行くなど、苦労を惜しまなかったことが高く評価されたという。

 「う~む」。後輩の栄誉に、河本は少し複雑な気持ちになった。うれしさの一方、2連覇への重圧がさらに増したからだ。

次々と受賞

 快挙は続く。

 午後の男女の演技賞。トップの「最優秀女子演技賞」で名前を読み上げられたのは――。

 「升田(ますだ)乃愛(のあ)さん」

 「ハ、ハイッ!?」

 「夢見る~」で主演を務めた2年・升田が、昨年に続く受賞。壇上で一言を求められた升田は「今年は無理だと思ったんですけど……」と演技ではなく、ホントに恐縮していた。

 さらに、編集賞でも地獄の編集をやり遂げた自称・次期監督の島崎が「優秀」で続き、いよいよ「最優秀監督賞」の発表に。

 「……」

 え、何、このタメ? 心臓が口から飛び出そうな緊張――。

 「米子工業高等専門学校!!」

 校名が読み上げられると、会場は「おおッ」というどよめきに満ちた。

 壇上に上がろうとする河本。が、動揺で足がもつれる。必死にずれたメガネを引き上げたが、審査員の講評が、これまでの苦労を帳消しにしてくれた。

 「この作品は、情熱だとか、友情だとか、“一生のうちのある瞬間にしか持てない感情”にあふれています」

 最後の「最優秀作品賞」は、もはやダメ押し。今日5つめの賞、そして夢見てきた2連覇だ。

 またも(うなが)された河本が壇上に上がる。大会を主催する偉い人が優しい笑顔で言った。

 「去年も持ってったでしょ?」

 「ハイ(笑)」

 顧問の田中(すすむ)先生が、こっちに一眼レフを向けている。升田は、うつむいて涙をこらえている。島崎は、はにかむように見つめている。この賞は、自分だけのものなんかじゃない。

 「みんなに支えられました……。本当にうれしいです」

 言葉を振り絞る。きっとこの感情も一生にこの瞬間にしかない。河本は心のフィルムに、響き渡る拍手と笑い合う仲間の姿を、静かに焼き付けた。(敬称略、完)(文と写真・増田知基)