キミ本大賞 「元気をくれる本」編 発表

 先生にとっての「元気をくれる本」は? 全国の中学・高校教師が生徒に最も読んでほしい本を選ぶ「君に贈る本大賞」(キミ本大賞)大発表の季節が今年もやってきました。3回目となった今回は43都道府県から1450人もの先生が投票。選ばれたのは、読み継がれてきた名作から最近のヒット作まで様々。上位作品と先生のコメントを紹介します。

◆1位 夢をかなえるゾウ 水野 敬也 ( けいや )

あらすじ
 関西弁で話すゾウの姿をしたインドの神様「ガネーシャ」が、ダメダメな“僕”の前に現れた。歴史上の著名人を「ニュートンくん」などと呼び、自分が導いたと豪語するが、うさんくさい。ガネーシャは、変わりたいという僕にトイレ掃除などの地味な努力を命じる。200万部を突破し、TVドラマ化もした人気作。第2、3弾もある。(飛鳥新社、648円)

◆自分を変えたい時に 小さな努力の大切さ


 <先生から>

 「自己啓発本なのに笑えるシーン満載。小さな努力の積み重ねが、大きな成功を引き寄せるということをガネーシャが教えてくれた」(山形県 私立高 20歳代女性)

 「本当にやりたいことをかなえるまでの様子が描かれている。夢があなたを元気にする」(埼玉県立高 30歳代男性)

 「この本がきっかけで友達が起業した」(兵庫県公立高 30歳代男性)

 「啓発本っぽくない」(千葉県 私立高 40歳代女性)

 「読書嫌いでもスラスラ読める。世界の偉人の人生も学べる」(大阪府 私立中 20歳代男性)

 「読み終わった後に何か行動に移したくなる1冊」(大分県 私立高 30歳代男性)

 「『自分が変われるとしたら、行動して、経験した時や』。ガネーシャのこの言葉、その通り」(神奈川県 私立高 20歳代男性)

順位 書名 著者
夢をかなえるゾウ 水野敬也
一瞬の風になれ 佐藤多佳子
風が強く吹いている 三浦しをん
赤毛のアン モンゴメリ
舟を編む 三浦しをん
ランチのアッコちゃん 柚木麻子
カラフル 森絵都
下町ロケット 池井戸潤
陸王 池井戸潤
10 羊と鋼の森 宮下奈都
11 星の王子さま サン=テグジュペリ
12 海賊とよばれた男 百田尚樹
SLAM DUNK 井上雄彦
坊っちゃん 夏目漱石
15 神去なあなあ日常 三浦しをん
佐賀のがばいばあちゃん 島田洋七
十二番目の天使 オグ・マンディーノ
本日は、お日柄もよく 原田マハ
「また、必ず会おう」と誰もが言った。 喜多川泰
モモ ミヒャエル・エンデ

◆親しみやすく 読みやすい

 今回の「キミ本大賞」では、1位から3位がいずれも1票差の接戦だった。また、ランキング上位に、過去10年以内の比較的新しい本が多かったのも特徴だ。

 大賞となった「夢をかなえるゾウ」を推したのは26人。2007年の作品で、特に20~30歳代の若い先生からが多かった。前向きな気持ちになれたという結果はもちろん、「笑った」という声が目立った。

 2位と3位は共通点が多い結果となった。2位の「一瞬の風になれ」は高校の部活、3位の「風が強く吹いている」は大学の部活が舞台。いずれも06年の刊行で、種目が短距離と長距離である点が違うが、陸上部員が爽やかな汗を流すというストーリー展開が似ている。先生や生徒にとって身近な部活が軸となり、走るというシンプルな運動の躍動(やくどう)感を感じて、好きになった人が多いようだ。「自身が中高生時代に陸上部に所属していた」と、実体験と重なる部分に共感したという先生もいた。

 4位の「赤毛のアン」は、トップ5の中では唯一の古典で外国文学。14年に、NHK連続テレビ小説「花子とアン」が放送され、訳者の村岡花子がクローズアップされた影響も大きそう。女性による推薦がほとんどで、「長く愛読している」といったコメントも届いた。

 5位の「舟を編む」も、刊行は11年と新しい。著者の三浦しをんの作品は、3位と、15位にも「神去(かむさり)なあなあ日常」がランクインした。やはり読みやすいという声が圧倒的。明るい物語が多く、元気をくれるというテーマにぴったりの作家と言えそうだ。