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カヌー銅…羽根田が感じる「寒けがする」ほどの変化

編集委員・三宅宏
  • 帰国後、銅メダルを手に笑顔の羽根田選手(8月30日、池谷美帆撮影)
    帰国後、銅メダルを手に笑顔の羽根田選手(8月30日、池谷美帆撮影)

 リオデジャネイロ五輪を機に人生が大きく変わった選手の1人に、カヌーの羽根田卓也(29)(ミキハウス)がいる。スラローム男子カナディアンシングルで、カヌー競技では日本勢初となる銅メダルを獲得して帰国すると、「生活が180度変わっちゃった」。人気は衰えず、10月1日に開かれた日本カヌー連盟主催の「祝賀会・連盟創立80周年のつどい」でも、主役は間違いなく羽根田だった。

 羽根田が「一番変わったな」、と思うのは何げない時だ。

 普通に道を歩いて、気づいてくれる。世間の感覚は「羽根田=カヌー」だから、羽根田自身は「それだけ、カヌーに注目してもらっている」と捉えている。いろいろなところで「カヌー」という言葉を取り上げてもらっているのもうれしい。

 では、変わってないこと、変えちゃいけないことは?

 羽根田に聞くと、「あんまり鼻が伸びないように気をつけたい」と言った後、「うーん、なんでしょう」と考え込んでしまった。それほど自分を取り巻く環境が大きく変わったということだろう。

 テレビ番組の出演も多い。

 五輪前に「ハネタク」の愛称をもらったマツコ・デラックスの番組には、請われてゲスト出演した。他のバラエティーにも引っ張りだこだ。羽根田は「(自分のようにぼそぼそしゃべっても)芸人さんは面白くしてしまう」と感じ入っているそうだが、イケメンぶりと、メディア慣れしていない素朴さが受けて、評判は上々だ。

  • リオ五輪でカヌー競技日本初の銅メダルを獲得した羽根田卓也選手(2016年8月9日、竹田津敦史撮影)
    リオ五輪でカヌー競技日本初の銅メダルを獲得した羽根田卓也選手(2016年8月9日、竹田津敦史撮影)

 テレビ出演を楽しんでいることは間違いないが、メディアへの出演は、第一人者としての自覚からもきている。カヌーを知ってもらうために、自ら先頭に立っている。

 「しなきゃいけないでしょう。こんな機会、100年なかったわけですから」

 実は、羽根田は五輪後、日本へ帰らずに、リオから練習拠点のスロバキアへ直行するつもりだった。ところが、メダルを取ったことで、予定を変えた。帰国して、年内いっぱいは日本に滞在することを決めた。現在は、体のケアに加えて、「メディアの露出に精を出している」と自ら認めている。

 「メダルを取らなかったら(取材のオファーなど)何もこないですよ」

 4位に0・13秒差だった羽根田はいま、メダルの力をひしひしと感じている。同時に、「メダルを取って、その残酷さというものを、改めて感じる」という。0・13秒差が逆だったら…。「それを思うと、本当に寒けがするくらいの注目のされ方をしている」。羽根田は独特の言い回しで心情を吐露した。

 静かな生活が待っているスロバキアへの出国まで、あと3か月あまり。当面は経験したことのない感覚での忙しさが続くが、それもまたうれしい。

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