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アクセルはどうなる…コーチが語る浅田真央のいま

編集委員・三宅宏
  • フィンランディア杯の女子ショートプログラム終了後、「キス・アンド・クライ」で並ぶ浅田真央と佐藤信夫コーチ(2016年10月6日、風間徹也撮影)
    フィンランディア杯の女子ショートプログラム終了後、「キス・アンド・クライ」で並ぶ浅田真央と佐藤信夫コーチ(2016年10月6日、風間徹也撮影)

 フィギュアスケートは10月21日からグランプリ(GP)シリーズが始まり、浅田真央(中京大)はいきなり、第1戦のスケートアメリカに登場する。10月初旬のフィンランディア杯で2位になった浅田は日本に寄らずフィンランドから北米に直行、現地で練習を続けている。浅田自身は言い訳をしなかったが、佐藤信夫コーチは日本に帰国後、「昨シーズンに痛めた左膝がまだ回復していない」と明らかにした。現状はどうなのか。今季の戦い方は。佐藤コーチに聞いた。

 

 トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)にこだわりが強い浅田も、今回のフィンランディア杯の前には「回避」を公言していた。背景には、左膝の痛みがあったわけだ。

 「大会本番だからどうということではなくて、練習の段階で、それ以上やったらまた逆戻りしてしまうというギリギリのところにいた。気持ちはもうちょっとやりたいのだけれど、頑張らないように、そっと置いておかないといけない状況だった」

 フィンランディア杯は大きな大会ではない。GPシリーズも、全日本選手権や世界選手権に比べれば「絶対」ではないはず。「休む」という選択肢はなかったのだろうか。

 「本当のことを言えば、完全に休むのが一番いい。でも、そういうことができる年齢(26歳)でもないだろうし。休んだら、ほぼ終わりになっちゃうんじゃないかな、とも思う。そうなってくると『だましだましで』ということ。現状はそういう状態。本人も出たいという気持ちが強い。本人が納得できるように、本人の意志を大切にしている」

 男子では、4回転のループ、フリップなど高難度のジャンプが次々に達成されている。一方、現在の女子では、トリプルアクセルが最高難度のままだ。せっかく浅田が持っている最高技術を今季は見られないのだろうか。

 「練習ではやっていて、それを見ていると、全く可能性がないわけじゃない。膝の痛みが消えれば当然やるし、時々、わずかしか見ないが、決して悪いものではない。ちょっとだけ(足りない)回転を求めればいい、という状態にはあるが、その残りのちょっとを今求めると、(けがの状態が)逆戻りしてしまう可能性がないとはいえない。だから、どうしていいか、今は答えを見いだせない」

 トリプルアクセルは不発でも、最近の浅田は表現力が評価されている。佐藤コーチはもともと、個々の要素より、全体の流れを重視するタイプだ。そうした指導は得意なはずで、けがが悪化しない限り、十分に戦っていけるのではないだろうか。

 「ジャッジの判断基準がすべて点数化されることによって、今までの我々の持っていた感覚とは違う方向にいっている。何をやったから何点、何をやったから何点。そうすると全体の流れを見て、『トータル的に見て、やっぱりこっちかな』という判断はできない。自分の考え方を変えないといけないが、決して変わっていない。自分の理想は自分の理想として失いたくない。(その考え方は)彼女も理解している」

 「彼女のうまさは半端ではない。スケーティングも昨年に比べて、まだまだうまくなっている。でも、フィギュアスケートはスポーツ。若い人の勢いが意味をなさないとなると、そういうスポーツは絶対に廃れる。若い人には勢いがある。そことどう戦っていくか。それ以上でもないし、それ以下でもない」

 少し前まで、浅田はまさに、「勢い」の象徴だった。立場が逆転したということだろう。最後に、スケートアメリカでは、浅田に何を求めるのか。

 「ここだ、というのではなくて、我々が心の中で描いている『フィギュアスケートってこうだろう』というものをちゃんとやってくれれば。それが一番いいと思う」

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2016年10月14日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun