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「敗戦できない」小池知事の「座右の書」がブームに

メディア局編集部
  • 記者会見に臨む小池知事(9月30日撮影)。豊洲移転問題に絡んで「座右の書」にも注目が集まっている
    記者会見に臨む小池知事(9月30日撮影)。豊洲移転問題に絡んで「座右の書」にも注目が集まっている

 「私の座右の書が『失敗の本質』というタイトルで、日本軍がいかにして負けたかという本です。楽観主義、それから縦割り、兵力の逐次投入とか、こういうことで日本は敗戦につながっていくわけですけれども、都庁は敗戦するわけにはいきませんので」

 築地市場の豊洲移転問題などで対応に追われる東京都の小池知事。9月23日の記者会見で「座右の書」として『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』戸部良一他(中公文庫)を取り上げたことから、この本に注目が集まっている。

 中央公論新社によると、9月の『失敗の本質』の売り上げは直近1年の月間平均実売数に対して128.8%、10月はさらに伸びる見込みだという。

 『失敗の本質』は、ノモンハン事件から沖縄戦にいたるまで、先の戦争における日本軍の諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗としてとらえ直し、現代の組織一般に当てはまる教訓を導き出した名著。帝京大教授の戸部良一氏ら6人の学者の共著だ。

 1984年にダイヤモンド社から単行本として出版され、91年に中公で文庫化。以来、毎年必ず重版がかかり、59刷り、累計55万2000部に達するロングセラーになっている。

 近年では、サントリーホールディングスの新浪剛史社長ら、経営者の間で広く読まれている。昨年から今年にかけて、ブラザー工業の小池利和社長、三菱地所の杉山博孝社長、ハナマルキの花岡俊夫社長らが、愛読書に『失敗の本質』を挙げた。

 新浪氏はこの本を推薦するコメントの中で「会社組織の経営に常に必要な“戒め”を学べる指南書です」と述べるなど、日本型の組織が陥りやすい欠点をこの本から学んだという人は多い。

 小池知事が挙げた楽観主義や縦割りの弊害は、都庁だけでなく多くの組織に共通する問題だ。中央公論新社では「戦争本ではなく、ビジネス書として押し出すことで売れた」(販売企画部)と分析しており、「現代のリーダーに愛されるこの本を、今こそ多くのビジネスマンに知ってほしい」(同)と話している。

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  • 『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』戸部良一他(中公文庫)
    『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』戸部良一他(中公文庫)