東洋経済オンライン

硬派なニュースを読んで…東洋経済オンライン(前編)

 ネット上での世論形成はいかにあるべきか――Web業界にかかわる当事者たちにインタビューしながら、健全なネット世論の未来を探るシリーズ「YOL-ON」。第3回は、「東洋経済オンライン」の山田俊浩編集長です。経済情報サイトのアクセス数を驚異的な勢いで伸ばし、乗りに乗っている名物編集長は、ページビュー(PV)ばかりを追い求めるWebサイトの現状に危機感を抱き、独自の方法で警鐘を鳴らしています。

東洋経済新報社(東京都中央区)で

聞き手・読売新聞メディア局編集部長 原田康久

ページビュー急増の秘けつは?

  • 対談する山田編集長と原田部長(左)
    対談する山田編集長と原田部長(左)

――東洋経済オンラインのPVが順調に伸びているようですね。

 はい、8月は1億9300万PVまで行きましたので、9月中になんとか2億に乗せられたらいいなと思います(※)。7月が1億8000万で、8月が1億9000万台で、9月で2億になると気持ちいいなと思っています。

※このインタビュー後の10月、「東洋経済オンライン」を運営する東洋経済新報社は、同オンラインの9月の月間アクセス数で約2億500万PVを記録したと発表した。1億PVを達成した2015年3月以来、18か月でアクセス数を倍増した、としている。

――PVが伸びている要因は何でしょうか?

 要因は二つあって、一つは「ポケモンGO」に関する話題。これだけで2000万分を稼ぎました。それと、7月13日からiPhoneのホーム画面を左に1回スワイプすると出てくるニュースのページに、東洋経済オンラインの記事の見出しが再び出るようになったことです。なぜか3月中頃からなくなっていたんですが、それが復活したことで、そこからたくさんの読者が流れてくるようになりました。うちは、3月中旬からの4か月間は、まったくゼロだったんですね。

  • 東洋経済オンラインのPV推移(東洋経済新報社提供)
    東洋経済オンラインのPV推移(東洋経済新報社提供)

――ヨミウリ・オンラインの記事も、一時期たくさん出たり、それがパタっとなくなったりしています。最近は表示されていますね。いったいどういう基準で記事が選ばれているのか、こちらは全く分かりません。4か月も記事をまったく載せない、つまり、記事数がゼロになるという極端なアルゴリズムもあるというのも、なんだか不思議ですが。

 iOS10(※)がリリースされましたが、ニュースの欄の記事は今まで4+4(※)ありました。それが1+3になったんです。つまり、最初から見える記事の見出しは、ものすごくたくさんあるニュースの中のたった一つにすぎないということです。

※iOS10=アップル社製の最新モバイルOS

※4+4=iPhoneのニュースが出るページには、最初4本の記事の見出しが表示される。「さらに表示」という項目をタップすると、追加で4本の記事が表示され、合計8本の記事の見出しを読むことができる。iOS10では、最初に表示される記事が1本、「さらに表示」をタップすると計4本の見出しが現れるようになった。それぞれの見出しをタップすると、記事を出している新聞社などのサイトに飛び、記事の中身を読むことができる。

――逆に言うと、その1本に選ばれるとすごいということになる。表示してもらったパブリッシャーはすごいPVを期待できますね。

 いや、確率論的には期待しないようにしています。社内では、自分たちの実力は、ポケモンとiOSを除くと1億6500万(8月現在)になるので、それが実力であると再認識しようということです。

――アップル社がニュース項目の表示を減らしたと言うことは、ニュースを拡充しようという方向に彼らは行っていないと言うことですか?

 いろいろとテストをやってきていて、ニュースの需要がさほどでもないと判断したのでしょう。