ダイヤモンド社

雑誌社ならではのWebファースト…ダイヤモンド社(中編)

前編から続く)

締め切りのサイクルが体に染みついた

  • 「体が1週間単位で動く生理になってしまっていた」
    「体が1週間単位で動く生理になってしまっていた」

――読む人が少ないから、書いても反響がないということですか?

 そうです。(ビジネスとしては)やるべき挑戦だということは頭で分かっていても、体がついていかないというか。記者のインセンティブ(動機づけ)が働かないんですね。それに、長年週刊誌をやっていると、体が1週間単位で動く生理になってしまう。「取材したらすぐに記事を書く」というのは、新聞記者ならできるでしょうが、週刊誌の記者にそれをやれと言ってもなかなかできません。

 それまでは、水曜日の夜の編集会議で企画を出して、それが決まったら、翌火曜日水曜日に締め切りが来て、次の月曜に雑誌が出るというサイクルを繰り返してきたわけです。その頭がなかなか切り替わらないから、「デイリー・ダイヤモンド」なのに、記事が火曜、水曜に集中しちゃうんですよ。

――それは新聞記者も同じです。新聞の締め切りのサイクルで体ができているので、締め切り時間に合わせて原稿を書くようになるんですよ。急にデジタルになったからといって、すぐにその場に出せるわけではありません。「デジタル・ファースト」を掲げている新聞社でも、そういう問題に直面したようですね。

 志としては正しいが、なかなか難しいということは、よくあることです。デイリー・ダイヤモンドでも、何とか原稿は集まるようになったけれど、みんな嫌々、出しているんですよ。「これは続かない、持続性がない」と感じました。

 当時の特集担当者は、週刊誌の毎号の特集をヘロヘロになって作った後に、今度は、Web用の記事を作らないといけないわけです。締め切りのあとに、その作業が来る。すでに印刷されている週刊誌の誌面には、「この記事に関連するもっと詳しい記事がサイトに載ります」という予告が印刷されているので、逃げるわけにはいきません。そこは一応、編集部の自由意思ということになっていて、Web用の特集はできるだけやってほしいという程度の要請だったが、やはりだんだん出てこなくなる。そして、編集部も次第にギスギスし始めていたので、もう潮時かな、と思いました。

――デイリー・ダイヤモンドはどれぐらい続いたんですか?

 2年はやったのかな。ただ、そのサイトは今も定期購読者向けのサービスとして、存続しています。定期購読者は週刊ダイヤモンドのすべてのバックナンバーを全部デジタルで読めるようになっていて、PDFでもダウンロードできます。もともとそのサービスはあったんですが、これをもっと活用してもらおうと考えています。

――アーカイブをWebのサービスの中心にしようということですか?

 はい。ただ、記者の中には記事をどうしても、いち早く見せたいという人もいることはいるんです。(会員制ではない)ダイヤモンド・オンラインは、そういう記者たちの意気込みに応えられる場所としては活用できます。オンラインなら、もっとたくさんの人に読んでもらえるのでモチベーションも上がるでしょ、と。そういう形で、オンラインを使うようにはなりました。